赤い流れ星3
「……どうかしたのか?」

「い…いえ……
あの……えっとですね……ですから……」

あぁ、酔いが覚めたらいろんなことを考えてしまってなかなか言葉が出て来ない。
さっきはあんなにぺらぺら喋られたのに……


(あ……)



「す、すみません。KEN-Gさん…あ、あの、ワインを少しいただけないでしょうか?」

「ワインを…?」







「ふふふふ……」

「野々村さん…飲むのはそのくらいにして、まずは話じゃ。
話をしてから飲もう、な。」

KENーGさんは、とても心配そうな顔をしてそう言われた。



「大丈夫ですよ~
このくらいなんてことありませんよ、賢者さん!」

そう言ったら、私はますますおかしくなって俯いて懸命に笑いを堪えた。



「そうか、そうか…
それで……あんたが知ってることじゃが……」

「ええ、私はなんだって知ってます。
何から何まで知ってますとも!
KEN-Gさんとシュウさんが小説の世界から来られたことも、美幸さんがこの五年間小説の世界に行かれてたことも、なんでもかんでも知ってるんです!」

言った後でどっと冷や汗が流れた。
わ、私ったら…な、なんてことを…!
ここまでストレートに言うなんて……う、嘘っ!

ふと見ると、KEN-Gさんは今まで見たことのないような怖い顔で私をみつめられてて……



「……なぜじゃ?
おまえさんはなぜそんなことを知っとるんじゃ?」



え……?
今、、「なぜ知ってる?」っておっしゃった…?
ってことは……認めるってこと…!?



火照った顔がますます熱くなって、心臓が早鐘を打ち出した。
確信はあったはずだけど、でも、目の前にいる人が小説の世界から来た人だなんて……
こんなことが本当にあるの?



「野々村さん。」

「は、はいっ!」



ここまで来たら、どうしようもない。
覚悟を決めて話さなきゃ!
すべてはそれからだと思った。



「KEN-Gさん…
じ、実は……」



私は美幸さん達について知ってることを全部ぶちまけた。
ショックでまた意識がはっきりした気はしたけど、それでも不思議なくらいすらすらと言葉が口をついて出て来た。
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