赤い流れ星3
「野々村さん…?」
「あ…すみません。
……でも、本当に良かったです。
KEN-Gさんがご無事で……」
そう話した時、私の頭をさっき疑問に感じたKEN-Gさんの言葉がかすめた。
「そ、そうだ、KEN-Gさん…
さっき言われた『自分の人生を書いて』というのはどういうことですか?」
「それはじゃな…
こっちに来るにあたり、何もせず来てしまったのでは、前のシュウと同じになってしまう。
つまり、戸籍もなく、この世に存在はしておってもその存在を認めてもらえん人間じゃ。
最初にシュウがこっちに来た時は、そのことでたいそう苦しんだ。
じゃから、わしは秘術を使い、シュウにそれを持たせた。
つまり、シュウの『記録』のようなもんじゃ。
そうすることによって、こっちの世界にはシュウが産まれ、多くの人と関わりながら育ったという事実が形成される。」
な、なんですって?
人生の記録…?
……あ、そういえば……シュウさんが門をくぐられる前に賢者さんがシュウさんのポケットに紙切れを入れたっていうのがあった。
「KEN-Gさん、それはもしかしたら、シュウさんの胸ポケットに入れられた紙切れのことですか?」
「その通りじゃ。おまえさんは、なんでも知っておるのじゃな。」
「そ、そんな紙切れに書いたことが、現実になるんですか!?」
「野々村さん…わしは賢者という設定じゃが、ひかりの頭の中の賢者はすごい魔法が使える人でもあったようなんじゃ。
じゃから、そんなことはお手のもんじゃ。
書くとはいっても文字で書くわけじゃあないんじゃぞ。
そんなことをしていたら、どれだけ分厚いものになるかわからん。
事実を文字にして魔法の力で貼りつけたもの…とでも言えば良いかのう…」
私は頷いたものの、正直言ってはっきりと理解出来たわけじゃなかった。
なんとなくはわかる…
だけど、あまりに現実離れした話だったから、なかなかピンと来なかった。
「わしはいたって元気じゃが、見ての通りの年寄りじゃし、いくらなんでももう働き口はないじゃろう。
こっちの世界ではなにをするにも金がかかる。
シュウや美幸ともすぐに出会えるという確証はなかったし、探しに行こうにも金がないんじゃどうにもならん。
じゃから、大金持ちということで記録を書いたんじゃが、急いでいたせいもあって大雑把になったせいか、とんでもない金持ちになってしもうた。
金はいくらあっても困る事はないが、おかげで何かといそがしゅうてな…」
KEN-Gさんはそう言って、苦笑いを浮かべられた。
「あ…すみません。
……でも、本当に良かったです。
KEN-Gさんがご無事で……」
そう話した時、私の頭をさっき疑問に感じたKEN-Gさんの言葉がかすめた。
「そ、そうだ、KEN-Gさん…
さっき言われた『自分の人生を書いて』というのはどういうことですか?」
「それはじゃな…
こっちに来るにあたり、何もせず来てしまったのでは、前のシュウと同じになってしまう。
つまり、戸籍もなく、この世に存在はしておってもその存在を認めてもらえん人間じゃ。
最初にシュウがこっちに来た時は、そのことでたいそう苦しんだ。
じゃから、わしは秘術を使い、シュウにそれを持たせた。
つまり、シュウの『記録』のようなもんじゃ。
そうすることによって、こっちの世界にはシュウが産まれ、多くの人と関わりながら育ったという事実が形成される。」
な、なんですって?
人生の記録…?
……あ、そういえば……シュウさんが門をくぐられる前に賢者さんがシュウさんのポケットに紙切れを入れたっていうのがあった。
「KEN-Gさん、それはもしかしたら、シュウさんの胸ポケットに入れられた紙切れのことですか?」
「その通りじゃ。おまえさんは、なんでも知っておるのじゃな。」
「そ、そんな紙切れに書いたことが、現実になるんですか!?」
「野々村さん…わしは賢者という設定じゃが、ひかりの頭の中の賢者はすごい魔法が使える人でもあったようなんじゃ。
じゃから、そんなことはお手のもんじゃ。
書くとはいっても文字で書くわけじゃあないんじゃぞ。
そんなことをしていたら、どれだけ分厚いものになるかわからん。
事実を文字にして魔法の力で貼りつけたもの…とでも言えば良いかのう…」
私は頷いたものの、正直言ってはっきりと理解出来たわけじゃなかった。
なんとなくはわかる…
だけど、あまりに現実離れした話だったから、なかなかピンと来なかった。
「わしはいたって元気じゃが、見ての通りの年寄りじゃし、いくらなんでももう働き口はないじゃろう。
こっちの世界ではなにをするにも金がかかる。
シュウや美幸ともすぐに出会えるという確証はなかったし、探しに行こうにも金がないんじゃどうにもならん。
じゃから、大金持ちということで記録を書いたんじゃが、急いでいたせいもあって大雑把になったせいか、とんでもない金持ちになってしもうた。
金はいくらあっても困る事はないが、おかげで何かといそがしゅうてな…」
KEN-Gさんはそう言って、苦笑いを浮かべられた。