赤い流れ星3
「それなら当然じゃ。
おまえさんは、シュウに会ったことがないが、和彦さんは会ったことがある。
つまり、シュウと関わりのあった和彦さんには影響があるが、おまえさんはシュウと会ったことがないから影響を受けなんだ…
そういうことだと思うぞ。」

私は今一つKEN-Gさんの言葉が理解出来ず、小首を傾げたまま、なんと返事をすれば良いものかと迷っていた。



「じゃから……
和彦さんはほんの一時とは言え、シュウと同じ時間を共有した。
しかし、共有したその時間は、シュウとひかりがこっちに戻って来る際になかったことになってしまったから、記憶の中からも削除されたということじゃ。
わかったかのう?」

KEN-Gさんは私が混乱していることに気付き、さらに詳しい解説を重ねて下さった。
そのおかげで、私にもようやくわかって来たような気がした。



「……は、はいっ、なんとなく…
そ、それじゃあ、美幸さんのご両親も当然…?」

「そういうことになるじゃろうな。
とにかく、シュウという人物の存在を知った者の記憶からシュウは消え、何事もなかったかのようにシュウのいなかった五年間の記憶がはめこまれた…
正しくは、この世界の現実に、シュウと出会わなかった五年間が組みこまれたということなのじゃがな。」

「は…はぁ……」

話が壮大過ぎてまだうまく受け止められない。
だけど、だいたいのことはわかってきた。
私はシュウさんのことを知ってはいたけど、それはシュウさんが現実にいたリアルタイムで知っていたわけじゃない。
だから、影響を受けなかったんだと思う。
私は青木さんの過ごされた五年間とは違うルートの五年間を過ごし、そしてどこかで合流した…
多分、そういうことなんだ。



(それにしても、なんてすごいことなんだろう……)



私は大きな溜め息を吐き出した。
今までわからかなったことがいろいろとクリアになったけど、でも、まだ半分は夢心地だ。、
この世界の現実を入れ替えてしまうなんて……
あぁ……考えれば考える程、頭がくらくらしてくる。
しっかりしなくては…!



「ところで野々村さん……今度はこっちが訊いてもええかの?」

「は、はいっ!」

KEN-Gさんの声に、私は反射的にそう答えた。
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