赤い流れ星3
「とにかく、おまえさんのおかげじゃ。
本当にありがとう。
おまえさんがいなかったら、シュウもひかりももちろんわしも、こっちへ来られることはなかった。
あとは、シュウとひかりをまた以前のようにうまくくっつけてやるだけじゃが……
野々村さん、ぜひとも協力しておくれ。」

KEN-Gさんはそう言いながら、私の両手をがっしりと包み込まれた。



「も、もちろんです!
私もずっとお二人の事は気になっていましたし、私に出来ることならなんでも!
あ…そういえば、シュウさんがあのホストクラブのオーナーだってことは、ご存知なかったんですか?」

「全く…!じゃから、あの時は死ぬほど驚いた。
あのシュウがホストをしよるだなんて、思いもよらんかったからな。
あのシュウがのう……」

シュウさんがホストさんになられていたことは、KEN-Gさんにはとても意外なことだったようだ。
私は、KEN-Gさんの言葉を聞いて頷きながら、ふと違和感を感じた。



「あの…KEN-Gさん…?
先程、KEN-Gさんはシュウさんに人生の記録を書いた紙を持たせたと…そうおっしゃいましたよね?
だったら、KEN-Gさんが、シュウさんがホストさんになられることを決められたんじゃないんですか?」

私が気になったことをつい質問すると、KEN-Gさんは怪訝な顔でゆっくりと首を振られた。



「いいや。
野々村さん、わしが書いたのはシュウが生まれた日や両親のことだけじゃよ。
それさえ書けば、自動的にシュウの人生が推測されそこに書きこまれるんじゃ。」

「え……!?」

私はKEN-Gさんの言われてることが理解出来ず、思わずおかしな声を出してしまった。



「野々村さん…シュウはもう小説の世界に誕生して何年も経つキャラクターじゃ。
見た目と名前が決まったばかりのキャラではないのじゃ。
シュウにはもうはっきりとした性格や意志があり、シュウが体験した出来事もいろいろある。
そういうキャラに、わしの思い通りの人生を押し付けようとしても無理なんじゃ。
野々村さん…おまえさん、『あの時、こうしていたら…』というようなことを考えたことはないかな?
ほんの些細な選択で人生が大きく変わることはよくあることじゃ。
いくら架空の人生だとしても、やはりそれを決めるのはシュウ自身なのじゃ。
わしに決められるのはごく基本的なことだけ。
あとは、シュウの性格や選択によって決められる。
魔法をかけて書きこんだのは確かにわしじゃが、そこにどんな人生が書き込まれたのかはわしも見る暇はなかったというわけじゃ。」

「はぁ……」

知れば知る程、聞けば聞く程、驚かされることばかりで……
きっと、これから先もまだまだこんなことがあるんだろう。
気を引き締めていかないと…!
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