赤い流れ星3
(えっ!?)



『野々村さんにだけ話すけど…』という前置きで書かれたメールには、純平さんからメールをもらったということが書かれていた。
確かに、二人共アニメ好きってことで盛りあがってはいたけれど、一体、いつの間にメアド交換したんだろう?
それに、きっと純平さんからのメールは営業のメールだと思うのだけど、美幸さんは完全に勘違いをされてるような気がする。


『また会いたいとか、カラオケしようねって書いてあったんだけど、なんて返信したら良いかな?』

なんて、書いてあったから。



それはただの営業メールです…なんて返したら、美幸さんは傷付かれるかもしれないし、かといって適当に話を合わせてたら、余計に勘違いが酷くなってしまうかもしれない。
どうしようかと迷ったけれど、あんまり遅くなったらまたメールが来るかもしれないから、とにかく一番無難な方法で誤魔化すことにした。



『KENーGさんもまた近々行こうっておっしゃってましたし、行きますって返しておいたらどうですか?』



つまり、私はそのメールが純平さんの個人的なメールではなく、お店への誘いだと理解したという体裁で……



『そうだね。
そうする。』



美幸さんからそんな短い返信が来るまでには、いつもより少し時間がかかった。
私の返信を見て、美幸さんもちょっと悩まれたのかもしれない。



『美幸さん!今度は少しおしゃれしていきませんか?
やっぱり、ホストクラブにあの服装はないですよね?』



メールの文面からも美幸さんのテンションが落ちてるのが感じられたから、私はなんとか盛り上げたくてそんなことをメールしてみた。
美幸さんは、常々、おしゃれには興味がないとおっしゃっていたから、もしかしたら逆効果かなと心配もあったけど、咄嗟にはそんなことしか思いつかなかったから。



『私もそう思ってたんだ!
でも、お金もないし、どういう風にしたらもよくわからないし…』



確かにその通りだった。
私も若い頃はファッション雑誌を見ていろいろ研究してたけど、着る物にこだわらなくなって早や何年…
美容院ももうずっと行ってないし、今のただひっつめるだけの髪型になって長い。
一応、清潔面だけはちゃんとしてるけど、それだけじゃ良くないってことも心の奥ではわかってる…



だけど、こんなおばさんが今更おしゃれなんかしたって…



ついついそんな後ろ向きのことを考えてしまう。
でも、美幸さんはまだお若いんだもの…!
応援しなきゃ…!
なんとかしなきゃ!



私はとりあえずこのことをKEN-Gさんに相談してみることにした。
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