赤い流れ星3




「きゃーーーーっ!信じらんなぁ~い!
KEN-Gったらどうしてもっとちゃんと教えてくれなかったのかしら。
カズが来てくれるなんてわかってたら、もっとおしゃれして来たのにぃ~!」

「ど…どうも……」



高見沢大輔が男性を好きだってことは小耳に挟んではいたものの、まさか、俺のファンだったなんて……
そのことは、アッシュでさえも知らなかったようだ。
高見沢大輔は、体格も俺とほぼ変わらないのに、しなやかな仕草や熱い眼差しはまさに女性そのもので、俺は妙に照れ臭い想いを感じた。



「KEN-Gとは家が近所なんですよ。
それと…昨日、ここに来た美幸ちゃん……あの子はカズの妹なんですよ。」

「ええーーーーっ!
あの美幸ちゃんがーーー!?」

アッシュの話に、高見沢大輔は大きな目をさらに大きく見開いて、俺の顔をじっとみつめた。
俺と美幸はあまり似てないから、驚かれる事は今までにもよくあったが、それにしても驚きすぎだと思えるような顔つきだった。



「あ……昨日は大変妹がお世話になりました。
その上、今日は俺達まで押しかけて……」

「ううん、そんなことない!来てくれただけで幸せ。
さ、ここに座って!」

高見沢大輔は、アッシュ達のことはすっかり忘れたみたいに、俺ばかりを見ていた。
そんな様子に呆れたように、アッシュとマイケルは顔を見合せて肩をすくめる。



「あ……あの、これ……
良かったら、皆さんで……」

「まぁーーーっ!私のために差し入れまで……
きゃーーーっっ!」

高見沢大輔は、手渡した抹茶ロールを抱き締め、頬をピンク色に染めた。
年齢も確か俺とそうは変わらないはずだが、その光景はまるで一昔前の初心な女子高生みたいで、俺は一瞬可愛いと感じてしまった。
なにやらおかしな気分だが、歓迎されないよりはずっと良い。



「カズ、どうしたいか希望はある?
それとも、私に任せてくれる?」

「……任せます。
ちょっと気分を変えたいんで、好きに変えて下さい。」

「あぁぁ…幸せ!
カズの髪を、私のイメージ通りに変えられるなんて……
任せといて!
最高に格好良くしてあげる!」

高見沢大輔は、そう言って拳を力強く握り締めた。
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