赤い流れ星3




「はい、これで全部っと。」

「ずいぶん撮ったんだなぁ……」

「まぁね。
タカミーが、撮って、撮ってってせがむから。
後は、カズがその時の様子をメールしてあげてね。」

「……わかった。」



高見沢大輔の店では、かなりの枚数の画像を撮った。
とはいっても、撮ってくれたのはアッシュで、その中からブログに投稿するものを選び、今、野々村さんに送った所だ。

ブログに店のことを書きたいといったら、高見沢大輔は大喜びでいろんな所を案内してくれて、その上、本人の画像や俺との2ショットも山程撮る羽目になってしまった。
それにしても、最近のスマホは一体何枚撮れるんだ。
どれだけ撮ってもいっぱいにならないんだから、呆れてしまった。



新しい髪型も好評だった。
アッシュやマイケルには、精悍になったと言われたが、髪の長さはそう変わらないのに、色とカットでこれほど雰囲気が変えられるとは、さすがという他ない。
俺自身も、けっこう気に入ってしまった。
これからはずっと高見沢大輔の店に行こうかと思うものの、問題がひとつある。



「それにしても、タカミーはカズにぞっこんだね!」

「メアドも交換したことだし、これからはメールがじゃんじゃん来るかもね。」



その時、軽やかなメールの着信音が響き、それと同時にマイケルとアッシュが顔を見合わせた。



(まさか……)



開いてみると、それはやっぱり高見沢大輔からのメールだった。
ついさっき別れたばかりだというのに、またわざわざ今日は来てくれて嬉しかっただの、差し入れをありがとうだの……
さっき、何度も言い交わした言葉がまた書き連ねてあった。
……しかも、高見沢大輔の画像付きだ。



「あ、やっぱりタカミーからだ!」

背中から画面をのぞいたアッシュが、にやにやしながらひやかすような声を上げる。



まさか、本気ではないと思うが、こればっかりはどうにも困ったものだ。
とりあえず、このメールはまだ気付いていないことにしておこう。
俺は、溜め息と共にメールの画面を閉じた。



「あれ?返事しないの?」

「俺はまだこのメールには気付いてないの。
そんなことより、野々村さんにメールしなきゃいけないからな。」

俺は、テーブルの上にスマホを残し、そのまま自分の部屋に向かった。
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