赤い流れ星３
（き、来た！）



それからしばらくして、パソコンからメールの着信音が響いた。
差し出し人は、思った通り、青木さん。
わくわくしながらメールを開くと、そこにあったのはごく事務的な短い文面だった。



（……当然よね。）



私ったら，何を期待してたんだろう。
青木さんからのメールはブログの内容だってことはわかってた筈なのに……



それにしても…最近は以前より冷たい感じがするのは，私の気のせいだろうか？
お忙しいからかもしれない……
特にトラブルというようなものは心当たりがないから。



（さ……早く、仕事に取り掛かろう。）



私は気を取り直して、パソコンに向かった。
青木さんのメールにあったように、今夜はタカミーさんのお店の紹介をメインにして、変わった三人の髪型は明日のブログに掲載することにした。
お店の住所や電話番号も間違えないように掲載しなきゃ。



＊



（これでＯＫ…と。）



一枚一枚の画像にコメントを付けながらの、タカミーさんのお店紹介ブログは思ったよりも長いものになってしまった。
青木さんのブログは普段からけっこうアクセス数が高いし、そこにタカミーさんの話題となったら、きっと今夜のこの記事はいつも以上にアクセス数が伸びるはず。
明日の青木さんやアッシュさんの新しい髪型発表はさらにもっと増えるかもしれない。
こんな素敵な画像を見たら、ますます青木さんのファンが増えそうだわ。



私はまだアップしてない青木さんの画像をそっと開いて、再びそれをみつめた。
……溜め息しか出て来ない。
なんて素敵なんだろう……そう思えば思う程、私には手の届かない人だっていうことが痛い程わかってくる。



（あ……）



知らないうちに、私の頬を一筋の涙が伝っていた。

私、こんなに青木さんのことが好きなんだ……
砂粒程の可能性すらない恋なのに……



私は、そっと青木さんの画像を閉じた。
< 161 / 761 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop