赤い流れ星3
「じゃ、KEN-Gにはボクから連絡しとくから、野々村さんにはカズから連絡しといてよ。」

「えっ!?
大河内さんや野々村さんも呼ぶのか?」

俺がそう訊ねると、アッシュは怪訝な表情で首を傾げた。



「どうして?
KEN-Gや野々村さんはボクらのファミリーみたいなもんでしょ?
今までだって、何かある時はいつも一緒だったじゃない。」

「あ……あぁ、それはそうだが……」

「なにか問題でもあるの?」

「そんなものはない。
ただ……おまえ達が、俺と高見沢大輔のことをひやかすから…その……」

「なんだ、そんなこと。
KEN-G達なら、そんなのジョークだってわかるよ。
でも、どうしたの?カズがそんなこと気にするなんて……意外だね。」

俺は、アッシュの言葉を苦笑いで誤魔化した。



「あ、そうだ!
野々村さん、タカミーさんに髪やってもらったらすっごく素敵になったんだよ。
おじいさんなんて、あからさまに目がハートになってて……
もしかしたら、あの二人、思ったより早くにゴールインするかもしれないよ!」

「そうなの!?
へぇ……あの二人が……そりゃあおめでたいね!」



美幸の言葉が俺の心にぐさりと突き刺さった。



なぜだ?
自分がなぜこんなに動揺しているのか、さっぱりわけがわからない。
あの二人のことは俺だって知っていた。
今更驚くようなことじゃない。



(……なのに、なぜ……?)



「……カズ…どうかしたの?」

「え……あ、なんでもない。
あの……もう一人増えても良いか?」

「良いよ。
誰を呼ぶの?」

「あぁ……あの子だね?」

マイケルが、手を打ち、俺の方に向かって片目を瞑って見せた。
俺が呼びたいといってるのがアンリだと気付いたんだろう。



「……そういうこと。」

「何?誰のことなの?
マイケル、カズ、教えてよ!」

訊きたがるアッシュに、俺は微笑だけを返した。
俺には付き合ってる女性がいる。
大河内さんと野々村さんのことなんて、少しも気にもしていないという余裕の……偽りの微笑だった。
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