赤い流れ星3




「わぁ……」



しばらくして、高見沢大輔が引っ張って来た野々村さんは、また一段と進化を遂げていて……
髪はアップにまとめられ、なまめかしい色香に俺はまた顔が熱くなるのを感じた。
他の皆も一様に呆然と立ち尽し、そのまま言葉を失った。



「なぁに、みんな……
何か感想はないの?」

「す…すごい!
プロのメイクがすごいことは知ってたけど……タカミーの腕は本当にすごいや!
ちょっとした整形みたいだね!」

アッシュはそう言いながら、野々村さんに近付きその顔をあちこちからながめまわす。



「整形じゃないわ。
私のは『魔法』よ。
そこらへんのメイクさんと一緒にしないで!」

高見沢大輔は、両手を腰に当て、おどけた様子で胸を張る。



「……本当に綺麗。
さっきも綺麗だったけど…野々村さん、まるでモデルさんみたいだよ!」

美幸が興奮した様子で声をかけた。



「美幸さんったら……からかわないで下さいよ。」

「本当だよ!」
「本当ですよ。」



美幸の声に被さったのは意外にも俺の声だった。
野々村さんと美幸が、驚いたような顔で俺を見ていた。
だけど、一番驚いたのは俺自身だ。
俺ったら、またなんでそんなことを……



「あ…いや……その……
だから……本当に綺麗ですよ。
野々村さん…あなたはもっとご自分に自信を持つべきだ。」

「え……あ…あの……」

俺はまた偉そうなことを言ってしまい、野々村さんは途端におろおろと落ちつきをなくした。



(困らせるつもりなんてなかったのに……
だいたい、俺はなんでそんな偉そうなことを……)



「いやん!カズったら、校長先生みたい!」

そう言って、高見沢大輔が俺の背中を威勢叩き、おかげでその場は明るい笑い声に包まれた。



「校長って……せめて教頭にして下さいよ。
って、そんなことより、みんな集まったんですから乾杯しましょう!」

「そうね!
私、ワイン持って来たのよ!」

雰囲気を壊さないように、俺はちょっとした冗談を口にして……
そして、高見沢大輔の持って来た高値なワインを早速いただくことにした。
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