赤い流れ星3
『青木さんは、美幸さんのことが可愛くて仕方がないんですよ。
だから、身体のことを考えてそんなことをおっしゃったんじゃないかしら?
服装のことについては…私もきっと青木さんにはどうしようもないと想われてるんだろうなぁ…
青木さんもアッシュさんやマイケルさんもセンスもスタイルも良過ぎですもんね。
きっと、そんな環境だから、普通の人より基準が高いんだと思いますよ。
私は美幸さんの服装がおかしいとは思わないけど、青木さんのすすめるものを着るようにされたら、美幸さんもあんな風におしゃれになりそうですね。
着るもので人の雰囲気ってがらっと変わりますよね。
趣味は、自由ですよね!
先日、美幸さんが紹介して下さった「チャウニーのからくり屋敷」とっても深い内容で、私、ものすごく感動してしまいました。
青木さんは、アニメのことをあまりご存知ないから、子供の見るものだと思いこまれてるのかもしれませんね。
気にすることありませんよ!』

差し障りのないつまらない内容かもしれないけど、それはほぼ私の本心だった。
私も、出来ることならコーラはやめてお茶にでもされた方が身体にも良いし体型もスマートになられるだろうって思うし、服装ももっと女の子らしいものにされたら良いなとは思ってる。
私みたいなおばさんとは違って、美幸さんは若いんだもの。
綺麗な服や可愛い小物を見て心ひかれることはあっても、私はもうこんなの似合わないって諦めてしまうけど、美幸さんは堂々と身につけられるんだもの。
だけど、知り合って間がないこともあり、さすがにまだそこまで腹を割って話す事は出来ない。
今送った内容が、私の書ける限界だと思う。



しばらくの間、美幸さんからの返信はなく、時の経過と共に私の不安はどんどん大きくなっていった。
美幸さんの返信はいつもとても早い。
なのに、戻って来ないってことは、やっぱりさっきのメールが気に障ったのか?



(……どうしよう?
謝りのメールを送るべきかしら?
それとも、電話の方が良い?)



だけど、それは私の杞憂だった。
どうしたものかと迷っていると、ようやく美幸さんから返信があり、私が「チャウニーのからくり屋敷」に感動したと書いた事をとても喜んで下さって、そのアニメについての熱い想いが、ものすごい長文で書かれていた。
青木さんへの怒りはどこへやら…
少々気抜けした感はあるけど、でも、良かった…私は、ほっと胸を撫で下ろした。
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