赤い流れ星3
(あ……)



ふと見ると、トイレから戻った大河内さんが美幸達の傍に座り、なにやら楽しそうに話していた。



(何を話してるんだろう…)

三人は顔を付き合わせるようにして、何事かを話しこんでいる。
そりゃあ、大河内さんや野々村さんは楽しいだろうが……
美幸まで混じって一体何を話しているんだ?



「ねぇねぇ、そういえば、野々村さんの好きな人って一体誰なの?」

高見沢大輔のいやな質問が耳をかすめた。



「えっ!?タカミー、知らないの?」

「アッシュ…プライベートなことはあんまり言わない方が良いぞ。」

アッシュは今にも話してしまいそうだったから、俺は慌てて釘を刺した。
……道徳ぶったことを言ってしまったが、本当は俺がそういう話をしたくないからなのかもしれない。



「えーーっ!みんな知ってるなら教えてよ!」

「ま、きっとタカミーにもそのうちわかるよ。」

「まぁーっ!本当に意地悪ね!
いいわよ、すぐに当ててみせるから…
あ……でも、まだその想いは成就してないんでしょ?」

「そうでもないんだよ。
もしかしたら、近々おめでたい発表があるかもしれないよ。」

マイケルのその言葉に、俺は不快なものを感じた。



(今更、気にしたってどうなるわけでもないのに……)

自分の女々しさに腹が立ったが、それを悟られないように俺は平気な顔で酒を飲み干した。



「まぁ、そうなの!?もうそんな所まで?
この間の雰囲気じゃ、まだ告白もしてないのかと思ってたわ。
へぇ……あの野々村さんが、ねぇ……」

高見沢大輔が野々村さんとどんな話をしたのかは知らないが、彼はとても意外な顔で野々村さんに視線を移す。



「……ま、他人のことなんてどうでもいいわ。
私にとって大切なのは、カズと私のことですもの。」

高見沢大輔の大きな手が、俺の太股に重ねられた。
アッシュとマイケルは、すぐにそれに気付いて肩を震わせ笑いを噛み殺している。



(おまえら~~…)

きつい視線で俺が睨んでも、二人はまだくすくすと笑い続けていた。
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