赤い流れ星3
(あ…でも……)

(美幸さん、どうかされたんですか?)

(もしも、タカミーさんがシュウさんのことを好きになったらどうしよう?)

(なんじゃ、なんじゃ、シュウのことが気になるのか?)

KEN-Gさんは、薄笑いを浮かべて肘で美幸さんを小突かれた。



(そ、そんなんじゃないよ!
シュウさんに迷惑をかけることになったら悪いから……)

(美幸、シュウは客商売のプロだぞ。
どんな客でもうまくあしらうことが出来るから、そんな心配はいらんよ。)

(そうですよ。
タカミーさんよりもっと性質の悪いお客でも、シュウさんならうまくかわされますから、心配することなんてありませんよ。)

(そ、そうなの?)

私とKEN-Gさんは同時に頷いた。



(そっか……じゃあ、大丈夫だね。
ね?だったらもう行く日を決めとこうよ。
いつにする?)

(そうじゃな…では、タカミーに予定を聞いてみて、暇がある時にしようじゃないか。
なんせ、タカミーはああ見えても忙しい男…人じゃからな。)

(……だよね…
でも、タカミーさん…本当に来てくれるかなぁ?)

(それなら大丈夫じゃ。
食事に行こうと誘うから。
知っておるか?
シュウの店では予約しておけば、まともな食事も出来るんじゃぞ。
同じビルにあるフレンチだかイタリアンだか店から、出前してもらえるそうじゃ。)

(おじいさん、そういうのは出前って言わないんだよ。)

(そうか、そうか。)

KEN-Gさんは本当に美幸さんのことが可愛くて仕方ないようだ。
ちょっとしたことでも、嬉しくてたまらない様子で微笑まれる。

ご自分の永遠の命と引き換えに、こちらの世界に来られたくらいだもの。
きっと孫以上に可愛いんだと思う。

KEN-Gさんの穏やかな笑顔を見ていると、私までなんとも言えない穏やかな気分になれる。



あ……



ふと、顔を上げられたKEN-Gさんと視線が合って、私も思わず笑みを返した。
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