赤い流れ星3
「えーーーっと……
タカミー、野々村さん…もう遅いことだし、そろそろ、わしらもお暇するかな。」

「えぇ~~、いやよ!
私、お泊まりしたい。
朝までずっと飲み明かしたい~!」

「……何をゆーとる。
カズさん達も明日は休みじゃないんじゃし、ご迷惑になるじゃろ。
あ、なんならうちに泊まるか?
うちなら全然構わんが……」

「KEN-Gのところなんて泊まりたくないわよ。
私は、カズと一緒にいたいだけだもん。」

「じゃあ、帰ろう。
今、車を呼ぶからな。」

「えーーーっ……」

不満げな顔をするタカミーには素知らぬ顔で、大河内さんは電話をかけ始めた。

確かに助かった。
こんな最悪の雰囲気の中、もう楽しく飲めるはずもない。
俺もマイケルも飲んでるから運転は出来ないし、この時間では車もすぐには来てくれないかもしれない。
大河内さんは決断も早いし行動力もある。
すぐに駆け付けてくれる伝手もあるのだろう。
少し悔しいが、さすがとしか言いようがない。

そういえば、さっきは軽々しくアッシュにあんなことを言ってしまったが、この時間では駅まで車は拾えないかもしれない。
歩くとそれなりに遠いのに、本当に悪い事をしてしまった。



「すぐに来るからな。」

「もう~っ!」

「そう怒るなって。
和彦さんにはまたいつでも会えるじゃないか。」

「あ~あ、つまんない……
ねぇ、カズ~…本当に泊まっちゃだめ?」

高見沢大輔は、殊勝な声でそう言いながら俺の方へじりじりと身を寄せる。



「タカミー、今度はタカミーの家に呼んでくれるんでしょ?
いつにする?楽しみにしてるね!」

マイケルが、俺の前にさっと回り込み、話題を変えてくれた。
彼はいつもこんな風に俺の窮地を救ってくれる。
俺よりもずっと年下なのに…
それは、裏を返せば、俺がそれだけしっかりしていないということなのかもしれない。



(そうだ…俺はだめな男なんだ。
大河内さんに負けるのだって、当然なのかもしれない。)


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