赤い流れ星3




「本当にすまなかった。
この埋め合わせは必ずするから……」

「カズ……」

アッシュはコーヒーカップから口を離し、俺の顔をじっとみつめた。



「……どうした?」

「カズ…彼女のことは気にならないの?」

「え……?
あ…あぁ、でもそれなら、おまえが無事に送り届けてくれたって……」

アッシュは、黙ったままでゆっくりと頷いた。



「……そっか……
やっぱり、あの子のことは本気じゃないんだね…?」

「そ、それは……」



言葉に詰まり、それ以上、俺は何も言えなかった。



「ねぇ、カズ…
だったら、なぜ、彼女を家に呼んだの?
僕達、女性を家に呼ばないことは暗黙の了解だったじゃない。
だから、彼女を呼ぶって聞いた時、僕達、密かにびっくりしてたんだよ。」

「そ、そうだったのか……ごめんな。」



いくらマイケルやアッシュにでも、本当のことは言えない。



「実はな……
酷い話なんだが……その…アンリは高見沢避けに誘ったんだ……」

「高見沢避け……!?」

二人は顔を見合わせたかと思うと、次の瞬間、同時に噴き出してげらげらと笑い始めた。



「おい、そんなに笑うことないだろ?
俺、けっこう真剣に困ってたんだぜ。」

二人が笑ってくれたのを良いことに、俺はちょっと大袈裟にそう言った。



「そ、それにしても、カズ、酷いよ…高見沢避けって……」

「彼女に失礼だよ!」

二人は大きな声で笑いながらそう言った。



良かった……
どうやら、俺の嘘を信じてくれたようだ。
酷い男だと思われるくらい、なんともない。



大河内さんに負けた惨めな男だと思われるよりは、ずっとマシだ……
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