赤い流れ星3
「えっ!?あ…あぁ、アンリさんのことですか?
お綺麗だしとっても素敵な方で…青木さんとお似合いだと思いましたよ。
昨夜はお可哀相なことになりましたね。」

「そうかなぁ……
私はそんなに良い感じはしなかったけど……
あの人、スタイル抜群だし…やっぱり、タカミーさんの言った通りなのかな?
兄さんはあの人のことをただ……」

「美幸さん、そんなこと言っちゃ失礼ですよ。
そ、それに……私達には関係ないことじゃないですか。
青木さんとあの方がどういうお付き合いをされようと……
お二人共、立派な大人なんですから。」

「そ、それもそうだね。
……だけど、私には不思議でしょうがなかったんだ。
普通、好きな女の人のことをあんな風に言われたら怒るんじゃないかな?
それに、兄さん…アッシュさんに頼んで自分じゃ追いかけなかった。
だいたい、彼女だ…みたいに言ってたかと思ったら友達だって言い出すし、そうかと思ったらまた彼女だみたいなこと言うしさ……
だけど、皆が帰った後、兄さんはすごく落ちこんでたんだ。
きっと、彼女のこと心配してたんだと思う。
それなのに、今朝、私が聞いたら、タカミーさんの言ったことは冗談だって言うんだ。
彼女もそんなことはわかってるって。
そういうもんなの?私にはさっぱりわけがわからないんだけど……」

なんでだろ?
私、妙に熱くなってる!?
ああいう人達のことは理解出来ないってことで決着がついたはずだったのに、やっぱり、胸の奥でもやもやしてたんだな。
だから、誰かに意見を聞きたかったんだ、きっと。



「……そうですね。
確かに、私にもわかりません。
でも……きっと青木さんには青木さんのお考えがあるんだと思いますよ。
それがどういうお考えなのかは、私には知る術はありません……」



野々村さんの言葉が妙に冷たく感じられた。
兄さんが何を考えてようが、そんなことは関係ないってこと…?
そりゃあ、野々村さんにはおじいさんがいるから、兄さんのことなんて興味ないのかもしれないけどさ……
兄さんの付き合ってる相手っていうのは、下手したら結婚するかもしれないってことで、そしたら、私の姉さんになるかもしれないって人なんだよ?
もう少し真剣に考えてくれても良いのにな……



「美幸さん……?」

返事をしない私に、野々村さんは小首を傾げた。



「そうだね。
あんな偏屈のことなんて考えたって仕方ないね!」

苛々した気持ちを抑えてそう言った時、ちょうど料理が運ばれて来た。
私はこれ幸いと、早速料理を頬張った。
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