赤い流れ星３

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「まぁ、本当においしいわ！」

この前と同じ部屋に通され、そして席に座るとすぐに料理が運ばれて来た。
食器からしてもいかにも高級そうな料理の数々は、良いにおいを漂わせ、その彩りは見てるだけでも食欲を刺激される。
タカミーさんは、シュウさんの隣に座って、シュウさんの顔を見つめてにこにこしながら料理を頬張る。



「シュウの言った通り、これは素晴らしい料理じゃな。」

「でしょう？
店はここの下ですから、良かったら今度訪ねてみて下さい。
店の雰囲気も良いですよ。」

「シュウよ……また敬語を遣う……
わしには、よぉ！じいさんって雰囲気で接してくれと言っておるじゃろ？」

「あ……」



シュウさんの照れたような困ったような顔に、なんだかはっとする。
そっか…シュウさんもあんな顔するんだ……
当たり前といえば当たり前なんだけど、なんだかちょっと意外な気がして……



（わ……）



不意に顔を上げたシュウさんと目があって、私は慌てて視線を逸らした。
なんてすごい目力……あんな瞳にみつめられたら、タカミーさんじゃなくてもクラクラするよね。



（……でも、シュウさんは私なんかには手の届かない存在だもん。
私のオリキャラと同じ名前だったことだけで、運命の相手だなんて考える程、私は若くない。）



「ひかりさん、とってもおいしいですね。」

「え…？う、うん。
さすがだね！」

野々村さんにひかりさんって呼ばれるとちょっと照れ臭い。
でも、ここではいつもとちょっと違う私でいたいから、本名じゃない方が良い。
私も野々村さんのことは「美咲さん」って呼ばなきゃね。
考えてみたら、野々村さんって名前も素敵だよね。
今の綺麗な野々村さんにぴったりの名前かもしれない。
それに引き換え、私は平凡な名前……
せめて、結婚相手がかっこいい苗字の人だったら良いな。



（たとえば…神咲美幸……
って、何考えてるんだ、私……）



急に熱くなる頬を感じ、私は冷たい水を一気に飲み干した。