赤い流れ星3
*
「おまえ…良い所知ってるんだな。」
「そうでしょう?
ここは、けっこう穴場なんですよ。
地元の知り合いに聞いたんです。」
「へぇ……」
眼下に広がる煌びやかな夜景をみつめながら、ふと、頭をよぎるのはあいつの顔……
おどおどしたようなひかりの顔だ。
(俺がそんなに怖いのか?)
あいつを苛めたこともなければ、それほど親しく話したこともないっていうのに、どうしてあいつはあんな怯えた目をする…?
いつもなら気持ちがほっとする夜景をみながら一服しても、俺の気持ちはなかなかまとまらなかった。
(……今夜の俺は、やっぱりどうかしてる。)
「……良太。
そろそろ戻ろう。」
「はい。」
*
「……そうか…」
店に戻ると、ついさっき皆帰ったとのことだった。
ひかりが帰ったすぐ後で、美咲さんがやっぱり自分も帰ると言い出し、それなら…と大河内さんも帰ると言い出して、高見沢大輔だけが俺を待つといっていたらしいが、迷惑だと思ったのか、大河内さんが説得して連れて帰ったとのことだった。
「ずいぶん遅かったけど、どこ行ってたんですか?」
純平はどこか不機嫌な顔つきで、俺にそう訊ねた。
「あぁ…あの子を送りに行って、それからちょっと時間を潰してた。」
「どうして、わざわざひかりちゃんを送ってなんて……」
「純平…わからないのか?
タカミーさん…ずっと、俺の右腕にへばりついてただろ?」
「……あ……
そういうことだったんですか……」
純平がほっとしたような笑みをのぞかせた。
「……純平……おまえ、あの子のことが好きなのか?」
「好きって……そんなんじゃないですよ。
ただ、気の合うお客さんっていうか……」
純平は俺から目を逸らし、落ちつきをなくして口篭もる。
本当にわかりやすい奴だ。
純平があの子にひかれてることなんて、丸わかりだ。
ふと、数年前、初めて出会った時の純平を思い出した。
あの時のあいつは、今とはまるで違ってて……そして、俺が話しかけた時にもこんな風に目を逸らし、俯いて小さな声で答えた。
(あの時のおまえなら、あの子とぴったりだったかもしれないな…)
俺の心に小さな苛立ちと悪意のようなものを感じ、そのことがさらに俺を苛立たせた。
「おまえ…良い所知ってるんだな。」
「そうでしょう?
ここは、けっこう穴場なんですよ。
地元の知り合いに聞いたんです。」
「へぇ……」
眼下に広がる煌びやかな夜景をみつめながら、ふと、頭をよぎるのはあいつの顔……
おどおどしたようなひかりの顔だ。
(俺がそんなに怖いのか?)
あいつを苛めたこともなければ、それほど親しく話したこともないっていうのに、どうしてあいつはあんな怯えた目をする…?
いつもなら気持ちがほっとする夜景をみながら一服しても、俺の気持ちはなかなかまとまらなかった。
(……今夜の俺は、やっぱりどうかしてる。)
「……良太。
そろそろ戻ろう。」
「はい。」
*
「……そうか…」
店に戻ると、ついさっき皆帰ったとのことだった。
ひかりが帰ったすぐ後で、美咲さんがやっぱり自分も帰ると言い出し、それなら…と大河内さんも帰ると言い出して、高見沢大輔だけが俺を待つといっていたらしいが、迷惑だと思ったのか、大河内さんが説得して連れて帰ったとのことだった。
「ずいぶん遅かったけど、どこ行ってたんですか?」
純平はどこか不機嫌な顔つきで、俺にそう訊ねた。
「あぁ…あの子を送りに行って、それからちょっと時間を潰してた。」
「どうして、わざわざひかりちゃんを送ってなんて……」
「純平…わからないのか?
タカミーさん…ずっと、俺の右腕にへばりついてただろ?」
「……あ……
そういうことだったんですか……」
純平がほっとしたような笑みをのぞかせた。
「……純平……おまえ、あの子のことが好きなのか?」
「好きって……そんなんじゃないですよ。
ただ、気の合うお客さんっていうか……」
純平は俺から目を逸らし、落ちつきをなくして口篭もる。
本当にわかりやすい奴だ。
純平があの子にひかれてることなんて、丸わかりだ。
ふと、数年前、初めて出会った時の純平を思い出した。
あの時のあいつは、今とはまるで違ってて……そして、俺が話しかけた時にもこんな風に目を逸らし、俯いて小さな声で答えた。
(あの時のおまえなら、あの子とぴったりだったかもしれないな…)
俺の心に小さな苛立ちと悪意のようなものを感じ、そのことがさらに俺を苛立たせた。