赤い流れ星3
side シュウ




「わぁ!シュウさん、すっごい荷物!
一体、どうしたんですか?」

「別にどうもしてない。
ちょっと買い物に行って来ただけだ。」

「え……?」



なんてことだ。
俺は、たまたま最初に声をかけて来た観月につまらない八つ当たりをしてしまった……



「あ…観月、これ、良かったら使ってくれ……」

実は他の新米にやろうと思ってたネクタイを、俺は観月に差し出した。
八つ当たりのお詫び…みたいなものだ。



「え…いただいて良いんですか!?
すっげぇ嬉しいです!
ありがとうございます!」

顔を輝かせ、何度も頭を下げる観月に、俺は余計に心が痛んだ。
同じ店で働くホストのことは家族だと想えというのか、カズさんの教えの一つだった。
俺も、カズさんには本当に良くしてもらった。
普段から身近な人間を大切にしない者には、お客を大切に出来る筈がないと言われ、俺は今までそれを守って来たつもりだったのに、どうして……



これも、また、あいつのせいだ。



(ひかり……)



あいつが男と仲良さそうに歩いていたから嫉妬してるってわけじゃない。
あいつの本性を見抜けなかった自分自身に腹が立つだけだ。

そういえば、あいつは店にもいつも大河内さんと一緒にやって来る。
当然、支払いは大河内さんだ。
今日も、何かを買ってたみたいだが、もしかしたら金や物のために男を利用してるってことか?
一緒にいた男は、女に不自由しているようには見えなかったが、一体、どんな手を使って取り入っているんだろう?
身体もそう良さそうには見えないが、武器にするとしたらやっぱりそれか…?



(……ってことは、まさか大河内さんもあいつにたぶらかされて……!?)



だとしても、俺がとやかく言うことじゃない。
大河内さんは金はあるわけだし、そんなことは割りきっているのかもしれない。



しかし、純平はそういうわけにはいかない。
もしも、あいつがひかりのことを真剣に考え始めているのなら、一応は話しておかないと……
それからどうするかは純平次第だが、本当のことを知らせるのは俺の役目だ。

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