赤い流れ星3




「美幸さ~ん!」

私が手を振ると、美幸さんも同じように手を振り返してくれたけど、その顔はどこか元気がなくて……



「ごめんね、いつも呼び出してばっかりで……」

「いいえ、誘っていただけて嬉しいです。」

やっぱり、美幸さんはいつもとは少し違う。
それとも、先日お化粧された顔を見たせいかしら?



いつものファミレスに入って、やっぱりそれが私の思い過ごしじゃなかったことを実感した。
今日の美幸さんは明らかに元気がない。
口数も少ないし、食べられる量だっていつもよりずっと少ないんだもの。




「美幸さん…なにかあったんですか?」

美幸さんからはなかなか話してくださらない様子さったから、私は思いきって話を切り出した。



「……わかったんだ。」

「え……?何がわかったんです?」

「シュウさんが、あの日、私を家まで送ってくれたり、プライベートの名刺をくれたわけが……」

「ええっ!じゃ、じゃあ……もしかして、シュウさんとお話を……?」

「そうじゃないよ…実はね……」



今までに聞いたこともないような暗い声で、美幸さんは話を始められた。







「そ、そんな……」

「馬鹿だよね……私なんかがシュウさんに気に入られるはずなんてないのに…そんなことはわかってたはずなのに、心のどこかで甘い夢を見ちゃったんだよね。
だいたい、私は純平君の方が好きだったのに、シュウさんにあんなことされたらすぐにそっちに傾いて……
でも、その純平君だって、私のことなんてなんとも思ってなかった。
私がおじいさんと仲良しだから、だから、適当に話を合わせてただけなんだ。
そんなこともわからないなんて、私は大馬鹿だよ。
でも、やっとわかった……だから、もう、行かない。
あんな所は、私の行く場所じゃない。」

「美幸さん、何もそんなに思い詰めなくても……」

こんな時、すぐに適当な言葉が出て来ないのがもどかしい。
まず、私が混乱していた。
美幸さんのお話がすぐには信じられなかったし、もしかしたら、美幸さんがなにか勘違いをされてるんじゃないかと思ったくらいだもの。




その時、美幸さんの着信音が鳴り、美幸さんはスマホの画面を見て、またそれをバッグの中に戻された。



「美幸さん…出なくて良いんですか?」

「良いんだ……」



不機嫌な声でそうおっしゃると、美幸さんは呼び出しボタンを押されて、いつもならまず飲まれることのないビールを注文された。


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