赤い流れ星3
side 野々村美咲




『了解!楽しみだねぇ!』

美幸さんから返って来たメールに、私は複雑な想いを感じた。

ついさっき、KEN-Gさんから電話があり、明日、お店に行く事になったこと、そして、純平さんを別のホストさんに変えてもらうようにシュウさんにお願いされたことを私は聞いた。



「本当に大丈夫なんですか?
美幸さん、がっかりされるんじゃ……」

「そのあたりのことはわしがうまくやるから大丈夫じゃ。
そんなことより、明日はとにかくジョーと話してくれよ。
なるべく、シュウとひかりが話が出来るようにするんじゃ。」

「それはわかってますが……」

「では、ひかりに明日のこと連絡しておいておくれ。
時間はまた明日連絡する。」

「はい、わかりました。」

KEN-Gさんはお忙しいのかして、手短に用件だけを話されると慌しく電話を切られた。



(……本当に大丈夫なのかしら?)



KEN-Gさんはあんな風に言われたけど……
もしも、シュウさんがすでに純平さんに話されてたら、純平さんから美幸さんに連絡があるかもしれないし……
そんなことを考えながら、私は少し重い気持ちで美幸さんにメールをした。

美幸さんからの返信は、いつも通りだったから、まだ純平さんから聞かれてはいないようだ。



(きっと、がっかりされるわ……お可哀相に……)



『時間はまた明日連絡するとのことでしたから、また明日メールしますね。』

『野々村さん、明日はなに着て行くの?』

美幸さんから素早く返信が来た。



『まだ決めてませんけど……美幸さんは?』

『私、この前、兄さんに買ってもらった服を着て行こうと思うんだけど……
またタカミーさんにメイク頼めるかな?』

『明日はタカミーさんは来られないはずですが、どうでしょうね。
もし良かったら私はお化粧しましょうか?
タカミーさんみたいにうまくは出来ないと思いますが……」

『うん!そうだね。
じゃ、私達は少し早めに会おうよ!
何時にどこにする?カラオケが良いかな?』

カラオケという言葉にどきっとした。
純平さんとみゆきさんは毎回アニメソングをデュエットされる。
明日、行く事になったけど、明日は何を歌う?……なんて、美幸さんが純平さんにメールをされるかもしれない。
とにかく、私は美幸さんが明日のことを知られるのがどうにも怖くて……



『美幸さん、決まったらまたメール下さい。
私は何時でも大丈夫ですから。
今日は急ぎの仕事があるので、もう連絡出来ないかもしれませんが、明日、よろしくお願いします。』

私は早くメールを終わらせたくて、そんな嘘を書いて送信した。
< 260 / 761 >

この作品をシェア

pagetop