赤い流れ星３
side 美幸
＊



（どれにしようかなぁ……？）



先日、兄さんに買ってもらった服と靴をひっぱりだして、私は頭をひねった。
今までおしゃれには関心がなかったから、どれとどれが合うのかさえよくわからない。
野々村さんに写メでも送って聞きたい所だけど、今夜は忙しいみたいだから自分で決めるしかない。



（やっぱり、ピンクにしとこうかな？）

チュニック丈のブラウスっていうか…ワンピースみたいなもの。
私がもう少しスマートなら、このままっていうのもあるだろうけど、やっぱり今はまだそこまでの勇気がないから、無難にパンツを合わせておこう。
この前の黒いパンツならなんでも合うから。
それに、この靴を合わせて……

うまく合わせられてるかどうかは別として、やっぱりこういうことって楽しいな。
私もうら若き乙女だもんね。

後は、明日、野々村さんにお化粧してもらって……
兄さんに買ってもらったお化粧道具を全部持って行こう！



女の子のバッグが重いわけが、今頃になってようやくわかった。
こういうものをいつも持ち歩いてたら、荷物は多くなるよね。
今までの私ったら、ハンカチとティッシュくらい持ってたらそれで良いって思ってたもんなぁ……



（そうだ…今度は、アクセサリーもなにか買おう！）



以前はそういうものが嫌いだった。
ただ邪魔で面倒臭いものだと思ってた。
だけど、兄さんに買ってもらったペンダントをつけ始めてから、それほど邪魔だと思わなくなって来た。
それに、このペンダントをつけ始めてからけっこう良いことが続いてるし……



（この石、恋愛運が良くなるって言ってたよね……）



そんなこと、信じてなかったけど、確かにちょっとその気配らしきものがある。
パワーストーンの力ってあなどれないものなんだって…最近そんな風に思えて来た。



（……あ！そうだ！）



その時、私の脳裏にあるものが思い浮かんだ。
立ちあがり、引出しの中をごそごそして、小さなポーチの中から私はそれを取り出した。



（……けっこう良いんじゃない？）



小指にさしたハート型のピンクの石がついたリングに、思わずにんまり。
多分、昔、母さんに買ってもらったものだと思う指輪。
当時は今よりずいぶん痩せてたから、薬指用だったのかもしれない。
多分、ペンダントとおそろいの石だから合うよね。



（うん…明日はこれもつけていこうっと！）


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