赤い流れ星3
そ…そうだわ…!
賢者さんは甘い物もお好きで、よくここあさんのお店にも行かれてた…
ここのおじいさんは甘い物がお好きで、アッシュさんの買ってこられたケーキをあんなにおいしそうに食べられてたし…



い、いえ…
世の中には甘い物好きなおじいさんなんて山ほどいる…
その中には、マーガリンやジャムよりもバターとマーマレードがお好きな方だっていらっしゃる…
そうよ…私ったら、何を考えていたのかしら…
賢者さんは、小説の中の人物…
現実にいらっしゃるわけがない…!



そう考えると、私はようやく落ち着く事が出来た。
だけど、ほっと胸をなでおろした私の頭に、また不安になることが思い出された。



(そうだわ…それじゃあ、あの「ひか」は…?)



そんな馬鹿なと思いながら、やはりどうしてもそのことがひっかかる。



(確かめなきゃ…
なんとかして、「ひか」の疑問を解かなきゃいけない!
どうせ、なんてことない理由に違いないのよ。
ただ、それがはっきりしないから不安に感じるだけ。
美幸さんとは関係ないことだってはっきりわかれば、私も安心出来るんだから…
……そうだわ!)



「あ…あの、おじいさん…!」



私は自分でも気付かず席を立っていて、皆の視線が一斉に私の集まった。
恥ずかしい…でも、もうここまで来たら引っ込みがつかない!



「……野々村さん…どうかしたのかい?」

「あ…あのっ!
この度は本当にいろいろとどうもありがとうございました!
昨夜から、私、とても楽しくて…
そ、それで…あ、あの…私はご近所でもなんでもないのですが…もし宜しければ、わ、私のお友達になっていただけないでしょうか!」

まるで何かに突き動かされるように、私はおじいさんに友達申請をしてしまった…
そうでもしないと、おじいさんの素性が探れないと思ったから…
たまたまどこかで会うなんてことも滅多にないだろうし、ここはストレートに言って親しくなってしまった方が良いんじゃないかって思ったのだけど…
部屋の中はしんと静まり、皆、私のことを呆れたような顔でみつめてた。



(ど、どうしよう…
もしかしたら、私、すごくおかしなこと言っちゃった?
ストレート過ぎた?
早急過ぎた?)



今の状況に気付いた私の顔は、今にも火を吹きそうに熱くなり、頭の中で血管がどくどく言ってるのが聞こえた。
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