赤い流れ星3
side シュウ




「ジョー……ちょっと良いか?」

「あぁ、どうかしたのか?」



仕事が終わってから、俺はジョーを奥の部屋に呼び出した。



「なぁ、ジョー……
本当に、大河内さんの席ではなにもなかったのか?
なにかあったなら、正直に話してくれ。
それとも、俺があの時席をはずしたことがまずかったのか?」

「おいおい、シュウ……
僕がそんなことを隠すと思ってるのか?
なにかあったなら、はっきり言うって。
さっきも言った通り、ひかりちゃんが帰るって言い出して、それならってことで、美咲さんや大河内さんも帰ったって、それだけのことだよ。」

「……ひかりは、やっぱり純平がいなかったから……
それで、早くに帰るって言い出したんだな?」

「シュウ、それは違う。
ひかりちゃんは、お兄さんが厳しいらしくって……
もちろん、ここに来てることも言ってないし、今日は美咲さんと会うって出て来たらしく、早めに帰っておいた方がこの次にも来やすいからって、そう言ってた。」

俺は思わずジョーの顔をみつめてしまった。
俺とほぼ同じくらいの年月ホストをやってるくせに、ひかりのそんな嘘に騙されてしまうなんて……



「ジョー…そんな……」

「あ、そうだ!シュウはまだ知らなかったよな?
ひかりちゃんのお兄さんって、亜理紗と噂になってたあのイケメン社長なんだってさ!」

「……え?」



俺が話しかけた時、重ねられたジョーの言葉に、俺は一瞬戸惑った。



「ジョー…なんだって?
ひかりの兄が、亜理紗と噂になってたイケメン社長……そう言ったのか?」

「あぁ、そうだよ。
それで、美咲さんはひかりちゃんの兄さんの会社の仕事をしてるらしいんだ。」

「あ……」



俺は、ひかり達が最初に店にやって来た時のことを思い出していた。
そうだ、あの時、亜理紗が部屋に乱入して、その時に、確か、その人の話が……



(じゃあ……この間、ひかりと一緒にいたのは、ひかりの男ではなく兄だったっていうのか!?




「……ジョー…そんなわけないだろう?
だって、ひかりとあのイケメン社長は少しも似ていない。
それに年だって……」

「あぁ、確かに年は離れてるみたいだ。
父親が違うとか言ってたから、多分、親同士が再婚でもしたんじゃないかな?」

「父親が……?
そ、そうなのか……」



口ではそう言いながらも、俺はまだどこか信じられないような気持ちだった。
< 276 / 761 >

この作品をシェア

pagetop