赤い流れ星3
「KEN-G、やるじゃん!」

アッシュさんが唐突にそう言って、肘でおじいさんの脇腹をつつくふりをされた。



「ボク達なんて、野々村さんとはKEN-Gよりずっと付き合いは長いのに、友達になってほしいなんて言われたことないんだよ。」

「そ、そ、そんなこと…!
わ、わた…わた……」

アッシュさんが想像もしないことをおっしゃるもんだから、私はますます慌ててしまって……



「ありがとうよ、野々村さん。
でも、わざわざそんなことを言ってくれんでも、わしと野々村さんはもう友達じゃ。
一緒に合唱もした仲じゃしな…」

「KEN-G…それを言うならデュエットでしょ!」

「あ…あり、ありがとうございますっ!」

私の恥ずかしい言動は、皆の笑いに誤魔化され、おかげでなんとか緩和された。



「こちらこそありがとう。
これからも、また一緒に遊んでおくれ。」

「は、はいっ!よ、喜んで…!」

私の願いはすんなりと叶った。
これで、おじいさんのことが調べられる。
……だけど、そんなことよりも、普通なら知り合う事もないであろう大金持ちのおじいさんが、私みたいに何の取り柄もない者と快く友達になって下さったことが、なんだかとても嬉しくて…
それに、突拍子のないことだったかもしれないけど、私自身にこんな勇気があったことが信じられない想いで……



(私にもこんなこと出来るんだ……)

そう想うと、私の胸の奥がじんと震えた。



「の、野々村さんっ!
ど、どうしたの!?」

美幸さんが声を上げ、驚いた顔をして私をじっと見ておられた。



(あ……)



私は自分の頬を伝う熱い物に気付き、焦ってそれを指で拭った。
その場に広がる気まずい沈黙…



……やってしまった…
きっと痛い奴だって思われてるに違いない。

だけど、今更うまく取り繕うことも出来ず……私はただ俯いたまま、誰かがこの沈黙を早く破ってくれることを祈るばかりだった。
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