赤い流れ星3




「ありがとう、ひかりちゃん!
メール嬉しかったよ!」

私がメールを送ってすぐに電話が鳴って、そこから聞こえて来たのは、純平君の弾むような声だった。




「え…う、ううん。
それより、純平君起きてた?
こんな時間にメールして迷惑じゃなかった?」

「迷惑だなんてとんでもないよ。
そんな事言ったら、昨夜、あんな時間にメールした僕の方がずっと迷惑だよ…本当にごめんね。」

「そ、そんなことないって!
現に私はメールが来ても、全然気付かずぐーすか寝てたんだもん。」

「あ……」



受話器の向こうから、純平君のくすくす笑う声が小さく聞こえて、私はその声になんだか気持ちが和むのを感じた。



「純平君、笑うなんて酷い!」

「え……あ、べ、別にそういうわけじゃないんだ。
あの…だから……」

「あ…?あ、あの純平君…冗談だから……」

「え……?じょ、冗談?
……あぁぁ、びっくりした。」



普段滅多に冗談なんて言わない私がおかしなことを言ったせいか、純平君は本当に焦ってて……



あぁ、なんだろ…この気持ち…
純平君が可愛くて仕方ない……
……そうだ!これが萌えだ!
今まで二次元のキャラにしか感じたことがなかったけど、これがリアル萌えなんだ!
……いや、違う……



(きっとこれが恋心……)



「……ひかりちゃん?
どうかしたの?」

「え…あぁ、どうもしないよ。」

出来るだけ平静を装ってそう言ったけど、顔がものすごく熱い。
きっと、今、私の顔は真っ赤になってると思う。



「実は、昨夜ね…仕事が終わってから、慎二がいろいろ教えてくれたんだ。」

「慎二さんが?」

「うん……僕がいなくて、ひかりちゃんが寂しそうだったとか……
あ、わかってるんだよ。
あいつはすごく気配りが出来る奴だし、優しいから大袈裟に言ってることくらい。
でも……ちょっと嬉しかった。」

「純平君……」



なんだか、ラブラブな恋人同士……いや、これから付き合いが始まる両想いの二人の会話みたいじゃない?
それとも、これも自惚れなのかな?



「ひかりちゃんがこういう格好だったとか、豚モダンを食べてすごく気に入ってたとか、指輪の話とか、いろいろ教えてくれたんだ。」

「そ、そう……」

ぽわぽわした浮かれた気持ちが「指輪」っていう言葉を聞いた途端にちょっぴり冷めた。
だって、頭の中に浮かんで来たのは、きつい目をしたシュウさんの顔なんだもん。
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