赤い流れ星3
「で……ひかりちゃんはどうだった?」

「……えっ!?どうってなにが?」

「あの……だから、慎二の印象……」

「慎二さん?うん、すごく良い人だと思うよ。
楽しいし、明るいし、優しいし……」

「……そう。そうだよね……」



純平君はそう言ったっきり、黙りこんでしまって……



「純平君……どうかしたの?」

「……別に。
ごめんね…急に電話なんかして。
じゃあ……」

「う、うん、じゃあね。」



純平君……どうしたんだろう?
よくわからないけど、なんだかおかしな雰囲気で電話は終わった。



純平君と良い感じだと思ったのは、やっぱり私の自惚れだったみたい。
そうだよね……
そんなにうまくいくわけないよね。
だって、私は可愛くもなんともないし、スタイルだって良くないし……



ほんの数分前までの浮かれた気分が嘘みたいだった。



(変なの……)



なんとももやもやしたいやな気分……

……ま、いいや。
考えてわかるわけでもないんだし。



(わっ!大変!)



スマホの画面をふと見ると、もうお昼休みの時間もあんまり残ってなくて……
私は、あわててお弁当を開き、口の中に放り込んだ。
野々村さんにも返信しようと思ってたけど、ちょっと時間がなさそうだ。
……っていうか、野々村さんにもなんか返信し辛いな。
やっぱり、まだ嘘吐かれたことを根に持ってるのかもしれない。
昨夜のことだもん…そんなに早く水に流せるわけもないよね。

昨夜といえば、兄さんは今日はちゃんと出社したんだろうか?
今日は、まだ顔を合わせてないけど……



なんだかもう……皆好き勝手してるよね。
……そうだよ。
兄さんは女の人と遊んでばっかりだし、野々村さんやお爺さんは嘘吐くし、純平君もなんだか思わせぶりなことばっかり言うし…それに、シュウさんもわけわからないし……



やっぱり、ここは本来私がいるべき場所じゃないのかもね…
おばあちゃん家で、一人暮らししてた時が懐かしいよ、全く。
いろいろ不便なこともあったけど、こんなに気を遣うことなんてなかったもんなぁ……



でも、わかってる……
あの暮らしにはもう戻れない。
いや…私がもっとしっかりすれば、戻れるのかもしれないけど……
一人で暮らしていくだけの甲斐性は私にはまだない。



そんなことを考えてると、お弁当を口に運ぶ手も止まってしまった。
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