赤い流れ星3




(あ~あ、なんだかぱっとしない一日だったなぁ…)



って、まぁ、いつもと同じといえば同じだったんだけど、気分的に…ね。
夕方近くになって、兄さんを見かけたけど、昨日のことなんてなにもなかったみたいにごく普通の顔をしてた。



(……あれ…?)



帰る支度をしながら、ふとスマホを見てみたら、見知らぬ番号から三度も着信が入ってた。
誰なんだろう?
見直してみてもやっぱり記憶のない番号だ。
留守電が残ってたから、私はそれを聞いてみることにした。



『もしもし、ひかりちゃん?
昨日はお店に来てくれてどうもありがとう。
ほんま、楽しかったわぁ…
あ、もしかして、今はまだ仕事中なんかな?
もうちょっとしてからまた電話します。』



聞こえて来たのは、はんなりした慎二さんの声だった。
こっちの言葉は、本当に穏やかで耳障りが良い。
……って、そんなことより、なんで慎二さんが私の電話番号を知ってるんだろう?
昨夜、慎二さんから名刺はもらったけど、私は教えてないし、こっちから連絡もしてないのに……



あと二回のメッセージもやっぱり慎二さんだった。
急いでる様子はなかったけど、三回もかかってくるっていうことは、やっぱりなにか急用……?
こっちからかけた方が良いかな?
でも、そろそろお店も始まる頃なんじゃ……



(……わっ!)



突然、鳴り響いた着信音。
画面に表示されてるのは、さっきの番号……慎二さんだ。



「は、はいっ!」

「あ!出た!ひかりちゃん?」

「は、はい。
何度もお電話いただいてすみません。
今、仕事が終わった所で……」

「そうなんや。お疲れさん!
こっちこそ、なんべんも電話してごめんな。」

「あの……どうして私の……あ、いえ、なにかご用でしたか?」

「そうやねん。実はな……」



「え……えぇーーーーっ!?そ、そんな……」




慎二さんの話は、思い掛けないものだった。
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