赤い流れ星3
「……野々村さん……どうかしたの?」

「……えっ!?あ……い、いえ。」

「そんなわけだから、なにも私も純平君のことを本気で彼氏って思ってるわけじゃないんだよ。
でも、今までより電話とかメールはしやすくなったっていうか……ほら、適当な言葉だったとしても、一応、純平君も私のこと好きだって言ってくれたんだしさ。
……いや、逆かなぁ?却って意識してしまうかな?
でもでも、どっちにしても、純平君は当分新人さんのサポートで忙しそうだし、お店に行っても会えないわけだし、特になにかが変わるってわけじゃないからね。
要するに自己満足みたいなもんだよ。」

「は、はぁ……」

「あ、そうだ!
このこと、誰にも言わないでね!
……もしも、これが純平君の冗談だったりしたら、良い恥さらしだからね。」

「そ、そんなこと……!!」

自分でもちょっとびっくりするような大きな声を出してしまって、美幸さんは驚いたように私の顔をみつめられて……



「す、すみません。
で、でも……純平さんはこんなことで冗談なんて言われないと思いますよ。
私は……純平さんの言葉を信じます。」

「野々村さん……」



私、何を言ってるんだろう?
美幸さんにはシュウさんと幸せになってもらわないといけないのに……
私がこんなことを言って、美幸さんがますますその気になって、本当に純平さんとラブラブになってしまったら、KEN-Gさんがこちらの世界に来られた意味が……美幸さんをこちらの世界に戻すために、大切な記憶をなくされたシュウさんの想いが……すべて無になくなってしまう!

だけど、美幸さんの幸せそうな顔を見ていたら……



そう…今のはきっと私の本心だ。
純平さんが嘘を吐くような人だとは思えない。
まだそれほど深いものではないかもしれないけれど、お二人がお互いに好意を持たれてるのは間違いないし……それを止めるようなことはしちゃいけないんだわ、きっと……

< 289 / 761 >

この作品をシェア

pagetop