赤い流れ星3
*
「おぉ、そうじゃ。
とっておきのええ酒があったんじゃった。
あ、慎二…ちょっと、付いて来てくれんか?
美咲さんも……」
爺さんは、そう言うと、慎二と美咲さんを引き連れて、屋敷の中へ入って行った。
庭に残された俺は、どことなく気まずい雰囲気を感じながら、ひかりの方をのぞき見ると、ちょうど運悪くひかりと視線がぶつかった。
「あ…あ…えっと……」
ひかりは、あからさまに焦った様子で、意味不明な声を出した。
(そんなに、俺のことが怖いのか?)
「……こないだ、聞いたんだけど……」
「えっ!?……何を聞いたんですか?」
「あの……君の兄さんが、亜理紗と噂になったイケメン社長だってこと……」
「あ……あぁ……」
ひかりは、あまりこの話をされたくなかったのか、俺とは目も合わさずよくわからない返事をした。
「君は、兄さんと一緒に住んでるんだって?
仲が良いんだな。」
「そんなことないですよ。
兄さんにはお世話になってはいるけど、年も離れてるし…それに、私は兄さんとはちっとも似てないから…見た目も性格も……」
俺にとってはなにげない一言が、ひかりにはそうではなかったようだ。
確かに、ひかりとあの社長はまるで似ていない。
ひかりも特別見てくれが悪いというわけではないが、あの社長とはレベルが違い過ぎる。
きっと、子供の頃からそういうことを言われ続け、それがひかりのコンプレックスになっているのだろう。
「似てるとか似てないなんて、そんなに重要なことなのか?」
「えっ……そ、それは……」
「俺は、兄弟がいないからそんなつまらないこと考えたこともない。」
ひかりは何も言わなかった。
気分を損ねたのだろう。
つまらないことを言ってしまったと後悔してももう遅い。
「……私も兄弟なんていなけりゃ良かったのに……」
どうしたものかと考えていると、ひかりがそんなことをぼそっと呟いた。
「でも、いなかったら、今、君はここにはいなかったんじゃないのか?」
俺の言葉に、ひかりはぎゅっと唇を噛み締める。
「……シュウさんは、うちの兄さんによく似てる。
兄さんもしょっちゅう私が返事出来ないようなことを言うんだもん。」
どこか不貞腐れたようにひかりはそう言って、瞳を伏せた。
「おぉ、そうじゃ。
とっておきのええ酒があったんじゃった。
あ、慎二…ちょっと、付いて来てくれんか?
美咲さんも……」
爺さんは、そう言うと、慎二と美咲さんを引き連れて、屋敷の中へ入って行った。
庭に残された俺は、どことなく気まずい雰囲気を感じながら、ひかりの方をのぞき見ると、ちょうど運悪くひかりと視線がぶつかった。
「あ…あ…えっと……」
ひかりは、あからさまに焦った様子で、意味不明な声を出した。
(そんなに、俺のことが怖いのか?)
「……こないだ、聞いたんだけど……」
「えっ!?……何を聞いたんですか?」
「あの……君の兄さんが、亜理紗と噂になったイケメン社長だってこと……」
「あ……あぁ……」
ひかりは、あまりこの話をされたくなかったのか、俺とは目も合わさずよくわからない返事をした。
「君は、兄さんと一緒に住んでるんだって?
仲が良いんだな。」
「そんなことないですよ。
兄さんにはお世話になってはいるけど、年も離れてるし…それに、私は兄さんとはちっとも似てないから…見た目も性格も……」
俺にとってはなにげない一言が、ひかりにはそうではなかったようだ。
確かに、ひかりとあの社長はまるで似ていない。
ひかりも特別見てくれが悪いというわけではないが、あの社長とはレベルが違い過ぎる。
きっと、子供の頃からそういうことを言われ続け、それがひかりのコンプレックスになっているのだろう。
「似てるとか似てないなんて、そんなに重要なことなのか?」
「えっ……そ、それは……」
「俺は、兄弟がいないからそんなつまらないこと考えたこともない。」
ひかりは何も言わなかった。
気分を損ねたのだろう。
つまらないことを言ってしまったと後悔してももう遅い。
「……私も兄弟なんていなけりゃ良かったのに……」
どうしたものかと考えていると、ひかりがそんなことをぼそっと呟いた。
「でも、いなかったら、今、君はここにはいなかったんじゃないのか?」
俺の言葉に、ひかりはぎゅっと唇を噛み締める。
「……シュウさんは、うちの兄さんによく似てる。
兄さんもしょっちゅう私が返事出来ないようなことを言うんだもん。」
どこか不貞腐れたようにひかりはそう言って、瞳を伏せた。