赤い流れ星3
side 野々村美咲




「す、すっごい……」

美幸さんは、中庭の様子を見てその場に立ち止まり、ぽかんと口を開けられていた。



数日前に、KEN-Gさんから電話があって、近いうちにバーベキューをやるという口実で、シュウさんを呼び出すことにしたとのことだった。



「パーティよりも、その方が少人数でも不自然じゃなかろう?」

「確かに、その通りですね!
では、シュウさんだけを呼ばれるんですか?」

「さすがにそれではシュウも来にくいじゃろうから、慎二を呼ぼうと思うとる。
あんたやわしが慎二と話してたら、シュウは自然とひかりと話すようになるじゃろ?」

「そうですね!」

「じゃあ、準備が出来たらまた日程を知らせるから、その時はあんたからひかりに連絡してやっておくれ。」



そして、今日のこの日を迎えた。
美幸さんには、KEN-Gさんにバーベキューに誘われたとだけ言って、シュウさん達が来ることは私も知らないふりをした。
私と美幸さんは、シュウさんが来る時間よりほんの少し前に着いて、肉が焼けるまでの間、広い中庭を散策しながら、のんびりと過ごした。



「本当にすご過ぎるね。
こんな広い中庭もあったんだね。
これだけの広さがあったら、ここに一軒家が建てられるよ。」

「ひかりが住んでくれるなら、建てても構わんぞ?」

「貧乏な私に一軒家の家賃が払えるわけないじゃん。
……あ、良いにおい……」

ひかりさんは、目を閉じてひくひくと鼻を動かされる。



「……そろそろ肉が焼けたようじゃな。」

本当においしそうなにおい……
私達はにおいにひかれるようにして、コックさん達のいる場所へ向かった。



純平さんのこと…KEN-Gさんにはまだお話していない。
話しておいた方が良いんじゃないかとい想いはあるものの、美幸さんを裏切れないという気持ちもあって、私は内心けっこう悩んでいる。
だから、KEN-Gさんと電話で喋ってる時には思わず話しそうになったこともあったけど、結局は我慢した。



(今日、シュウさんとなにか仲良くなるきっかけでもあれば、きっと、美幸さんの気持ちはシュウさんに傾くはずだわ……)



そんなことを考えてるうちに、私達は網の傍に着き、まさに肉を食べようとしていたその瞬間、シュウさんと慎二さんの姿が目に映った。
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