赤い流れ星3




「そうでしたか。
……でも、今から言うのはやっぱりおかしいと思いますよ。
わざわざ、言い訳してるみたいでしょう?
ですから、今は様子を見られるのが良いんじゃないでしょうか?」

「様子を……」

私は、ついさっきの純平君との会話の内容を話し、なぜだか、今日、シュウさん達も来たことを話しそびれてしまったこと、そして、それをどう取り繕えば良いのかを野々村さんに相談した。



「ええ、だって、今、純平さんは新人さんのサポートでお忙しいわけですし、ほとんどずっと新人さんと一緒だって話だったでしょう?
そしたら、慎二さんともあんまりお話されないんじゃないですか?」

「そりゃあ、そうだけど……
でも、もしも、シュウさんか慎二さんが話したら……」

「その時は、純平さんのお買い物のことに気を取られてたって言えば、きっと大丈夫ですよ。
純平さんがお世話されてる新人さんだから、今日はずっとそのことが気になってた風に話して……
……KEN-Gさんのお屋敷でのことは、ほとんど話されてないんでしょう?」

「う、うん…まぁね……」

「じゃあ、大丈夫ですよ。
心配することなんてありませんってば。」



野々村さんにそう言われて、私もなんとなくそんな風に思えて来た。



……そうだよね。
考えてみれば、私はけっこう嘘吐きじゃない。
兄さんに叱られないように、しょっちゅう嘘ばっかり言ってるんだから、いざとなればさっき野々村さんが言ったように嘘を吐けば良いんだ。



(……嘘か……)



やっぱりちょっと心が痛む。
特に、大好きな純平君には嘘なんて吐きたくない。
でも、この際、仕方ないか……



(ごめんね、純平君……)



だけど、どうして、私は素直に話さなかったんだろう…
シュウさんと慎二さんが来た事を……



どうしてもそのことが理解出来なかった。
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