赤い流れ星3
「ジョーです。よろしくお願いします。」

「僕は慎二ていいます。
どうぞよろしゅうに。」

俺は、シュウの隣に腰かけた。



「すごいですね。
まだお若いのに、こんな店を持たれるなんて。」

「これも周りのみんなの協力があったからですよ。」

「シュウさんは、どうしてホストの道に?」

「あぁ…自分でも意外でしたよ。
ホストなんて、女に媚びを売って成り立つ商売だと思ってましたからね。
でも、ある人との出会いで、その考えも変わりました?」

「……ある人?」

「ええ、俺の人生の師匠とも言うべき人です。
あの人と出会わなかったら、多分、今の俺はありませんね。」

シュウはそう言って穏やかに笑った。
そう…こんな笑い方だった。
身に付けているものは違っても、俺の知ってるシュウと、微笑みは少しも変わっていない。



「皆さん、今夜はぱーっといきまひょな。
まずは乾杯や。」

「じゃ、ネイサンとの再会を祝しての乾杯にしようよ。
このネイサンは、昨日イギリスから着いたばかりなんだ。」

「アッシュ、それは昨夜もやっただろう?」

「何度だって良いじゃない!」



「ほな、ネイサンさんとの再会を…俺達は初めての出会いを祝して…かんぱーーい!」

皆のグラスが高く掲げられ、繊細な音を立ててぶつかった。



その後は、カラオケ大会となった。
本当はシュウともっと話をしたかったのだけど、店でプライベートな話を…しかも、初めて来た日に…っていうのはあまりにも不自然だ。
シュウの元気な顔も見られたことだし、今日はもう適当に騒ぐことにした。



シュウとカラオケをデュエットした。
速いリズムの激しいロックだ。
なぜだか、歌いながら、昔、二人で旅行した時のことを思い出していた。
あの頃のシュウは、まだずいぶんと緊張してて、俺のことも恐れてたみたいだけど、あの旅行のおかげで俺達はわかり合うことが出来たんだ。



(シュウ…本当におまえなんだな…)

< 349 / 761 >

この作品をシェア

pagetop