赤い流れ星3
純平さんのことをお二人に言おうか言うまいか迷いながら、なかなかその答えが出せないでいた。
そんなある日…


三人で少し話をしないかとKEN-Gさんからお誘いがあった。
三人とは、もちろん、私とKEN-Gさんと青木さんのこと。
KEN-Gさんの行きつけのお店で会うことになった。



「青木さん、こんばんは。」

「こんばんは、野々村さん…大河内さんはまだですか?」

「ええ、ちょっと早かったみたいですね。」

「あぁ、本当だ。」

青木さんはご自分の腕時計を見て頷かれた。
私が着いたのは15分程前、青木さんが来られたのはそれから少し経ってからだった。



「中に入ってましょうか?」

「え?あぁ、そうですね…」

「あ、和彦さん、野々村さん…待たせてすみません。」

店に入ろうかとしていると、ちょうどそこにKEN-Gさんがいらっしゃったので、私達はそのまま店の中に入った。



「良いお店ですね。」

「個室があると、こういう時に助かりますな。」

落ち着いた和風のお店の一番奥に、その個室があった。
窓からは、坪庭の景色が眺められ、とても良い雰囲気だ。



「和彦さん…どうですかな?
あれから、お気持ちは落ち着かれましたかな?」

「はい、ネイサンがいてくれたこともあって、随分落ち着いたと思います。
まだどこかおかしな気はするものの、不安のようなものはかなり薄らいで来ました。」

「そうですか、それは良かった。
それで、わしのことはどうですかな?
わしがあの賢者だということは、信じてもらえましたかな。」

KEN-Gさんのその質問に、青木さんは何もおっしゃらずに苦笑された。



「いえ、全く信じてないわけではないんですよ。
いや、むしろ信じている。
だけど…正直言ってよくわからないというのが本音です。」

「そうですか、それも無理のないことですな。」

KEN-Gさんも機嫌を損ねたような様子はまるでなく、そう言って穏やかに微笑まれた。


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