赤い流れ星3
side 和彦
「今までは野々村さんと二人でしたが、これからは三人で話し合える…
ひとりでも増えると、本当に心強いです。」

大河内さんはそう言って、にこにこと微笑んだ。



そんな風に思ってもらえるのは素直に嬉しい。
俺にはそんなたいした意見は出せないだろうが、なにか少しでも役に立てれば…



そんなことを考えた時、俺の頭に大河内さんの言葉が繰り返された。



『今までは野々村さんと二人でしたが…』



そうだ。
二人は、美幸とシュウのことで今までも度々会っていたんだ。
それじゃあ、もしかして、俺が二人を見かけた時も…



「あ、あの…今までもお二人で美幸とシュウのことをいろいろ相談して下さってたんですか?」

「え?そりゃあ、もちろん…」



その時、俺は、ふと以前のことを思い出していた。
大河内さんと知り合って間もない頃のことだ。



「野々村さん…おかしなことをお聞きますが…
以前、あなたが大河内さんと友達になりたいとおっしゃったことがありましたよね。」

「え…あ、は、はいっ。」

野々村さんは、恥ずかしそうに頬を赤らめた。



「あの時はなぜあんなことを…」

「じ、実は…あの時…
私、KEN-Gさんになにか秘密があると思ったんです。
まだ賢者さんだと気付いてたわけではありませんが、美幸さんのことを『ひかり』といいかけられたこと、ひかりさんに対する特別な想い…なにかおかしいと。
それで…大変申し訳ないんですが…その…KEN-Gさんと仲良くなってその秘密を探ろうと思ったんです。」

「ほう…そうじゃったのか。」

野々村さんは大河内さんに何度も頭を下げ、大河内さんはそれに対して何も思っていないように微笑んでいた。



あの時の野々村さんの行動は確かにおかしかったが、まさかそんなわけがあったなんて、思いもしなかった。
しかし、それも当然の話だ。
野々村さんが俺とは違う数年間を過ごしていたなんて知るはずもなかったし、そのことで、野々村さんが大河内さんに疑惑を感じていたなんて思いつくはずもないのだから。
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