赤い流れ星3
「じゃ、次は純平じゃな。」

「は、はいっ。」

今度こそ、私も一緒に歌わないと…!
そう思っていたら…



「ひかり、飲み物は足りているかの?」

「え?う、うん。まだ大丈夫。」

「何か甘いものでも食べるかな?」

「い、いや、今はまだ…」

おじいさんがなんだかんだと話し掛けて来て、そんなやり取りをしている間に、デュエットするって言い出す機会は無くなって…



なんてこった…
二回もデュエットする機会を逃してしまうとは…



その後もみんなで歌って、踊って、盛り上がるのは盛り上がったのだけど、私と純平君がデュエットする機会は一度もなかった。







(……はぁ……)



純平君とは席も離れてるから、話す機会もなかった。
カラオケの後は、温泉に浸かって、それから夕食となったのだけど、その間も私と純平君はいつもすれ違い。
皆がいるから大っぴらに仲良くは出来ないと思ってたけど、それにしても、これほど喋られないとは…
あぁ、なんだかショック…せっかくおしゃれして来たのに…
でも、いまさらそんなことを言っても仕方がない。
もう、夕食まで来てしまったんだから…
私もさすがにもう諦めたよ。
今日は、純平君に会えただけで良かったとしよう。



そう思い直して、私はテーブルの上の料理を一心に口に運んだ。
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