赤い流れ星3
side 美幸




「ひかりちゃん、今、暇?」

「え?うん、大丈夫だけど…」



その日、兄さんはお父さんを見送りに行って、アッシュさんとマイケルさんはどこかにでかけ、私は、ひとり、暇な日曜日を過ごしてた。
そこへ突然、純平君から電話があって…



「ひかりちゃん、突然なんだけど、今から出て来れない?」

「え?」

「今日も用があるはずだったんだけど、相手の都合が悪くなって、急に暇になったんだ。
だから、会えないかなって…」

「え?い、今から?」

「……無理?」

「う、ううん、無理じゃないよ。
じゃあ、少し待ってて。
出掛ける準備が出来たら、また連絡するから…」

私は焦って電話を切って…
あぁ、どうしよう。
心の準備が出来てない。
いや、出掛ける準備もまだ全然…
今日は、暇だと思ってたから、思いっきり間の抜けた格好をしているよ。



服を着替えて歯を磨いて…
メイクは自分では出来ないから、とりあえずファンデーションを塗って、リップを塗って…
まぁ、すっぴんよりは多少はましだろう。


あんまり待たせては申し訳ないから、私は焦って連絡をした。
会うのは、シュウさんとこの前待ち合わせをしたあの本屋さん。
あの時はたまたま運悪く見られたけど、ふだんは兄さん達も行かない方角だから。



「ひかりちゃーーん!」

「あ、純平君!」

純平君はすでに本屋さんに来て私を待っていた。
今日もけっこうラフな格好で素敵だ。



「ありがとう、来てくれて。」

「こちらこそ、誘ってくれてありがとう。」

「どこ行こうか?」

「カラオケはどうかな?」

「そうだね。じゃあ、行こうか。」

挨拶もそこそこに私達はカラオケ店に向かった。
万一、誰かに見られたらまずいと思って、とにかくどこかに入りたかったから。

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