赤い流れ星3
「なにか良い案はないもんかのう…」

「……ここはなりゆきにまかせるっていうのはどうでしょうか?」

「なりゆきに?どういうことです?」

「大河内さんはおっしゃったじゃありませんか。
シュウと美幸には、元々の強い絆があるって…
だから、この広い日本でも巡り合えたんだって。
だとしたら、何もしなくても、なにか二人を結びつける出来事が起きるんじゃないでしょうか?」

それは、苦し紛れのでまかせみたいな言葉だった。
良い案なんて、何もなかったから…
それに、俺自身が二人のことを、半ば諦めていたからかもしれない。



「心配じゃのう…もしも、その間に純平とひかりの仲が進展したら…」

「大丈夫ですよ…二人の強い絆を信じてみましょう。」







しかし、やはりそううまくはいくはずもなかった。



野々村さんの話によると、それからも美幸と純平は何度かデートを重ねている。
ある時は、アニメの映画を見に行き、ある時はカラオケ…
まるで、高校生のデートのようだが、そうはいっても二人はもう立派な大人だ。
いつ、もっと深い関係になるとも限らない。



正直言って、俺はそれでも良いと思っていた。
純平とひかりの仲が決定的になれば、大河内さんもさすがに諦めるだろう。
俺だって、美幸にはシュウと仲良くなってもらいたいが、それはあまりにも難しいと思える。
それなら、美幸には人並みの幸せを掴んでほしい。
背伸びしなくても付き合える相手と幸せになってほしい。



二人が本気なら、俺は美幸と純平の間を応援するつもりになっていた。
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