赤い流れ星3
side 野々村美咲
「ははは…そりゃあ良いな。」



シュウさんの退院祝いパーティ…
いつものようにみんなでわいわい話をしながら、お庭でおいしいご馳走をいただいた。
今日の青木さんはなんだか機嫌が良いみたい。
さっきから、笑顔が多い気がする。
傍にいらっしゃったアッシュさんや慎二さんが離れ、青木さんがおひとりになった時を見計らい、私は、そうっと青木さんの傍に移動した。



「今日はお天気で良かったですね。」

「そうですね。
シュウが晴れ男なのかもしれませんね。」

そう言って、青木さんは微笑まれた。
やはり、今日はご機嫌が良さそうだ。



「そうそう、野々村さん…美幸の奴、さっきシュウと二人で喋ってたんで、良い感じだなと思ってたんですが、今は離れてしまいました。」

そう言いながら、ひかりさんの方を見られた。



「あいつ、ひとりで何してるんだろ…
なかなか思うようにはいかないものですね。」

「大丈夫。これからですよ。
と、ところで…青木さんの方はいかがなんですか?」

「え?」

「だ、だから…あの、その……」

言いにくかったけど、私はこの前からこの機会を待っていたのだから、言わないわけにはいかない。



「よ、余計なお世話なんですけど、さ、最近は恋愛の方はいかがなんですか?」

ついに言った。
青木さんは、一瞬、戸惑ったような顔をして、そして小さく微笑まれた。



「恋愛か~…そういえば、忘れてました。
最近は美幸のことに気を取られてばかりだったし、それに、いろんなことがあったから…」

「えっ!?」

それは意外な言葉だった。
青木さんはてっきり良い恋愛をされてるんだと思っていたから…



「……野々村さんは……」

青木さんは言いかけて、はっと口をつぐまれ、なんとなく気まずい顔をされた。
きっと思い出されたんだ。
私が好きなのは青木さんだっていうことに…
そう気付いたら、私もなんだか恥ずかしくなって…



「あ、青木さん…何か召し上がりますか?
それとも飲み物でも…」

「あ…あぁ、そ、そうですね。じゃ、なにか…」

青木さんもどこか落ち着かない様子だ。



「あっ」
「あっ」



サンドイッチに差しのばした手が偶然触れて…

私達は顔を見合わせて笑ってしまった。
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