赤い流れ星3
side 和彦
「アッシュ!」



高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、俺は目に付いたアッシュに声をかけ、彼の傍に近付いた。



なんで、俺はこんなにドキドキしてるんだ?
ただ、俺のタイプについて話をしただけなのに…



「あ、カズ、どうかしたの?」

「いや、別に…
楽しくやってるか?」

「もちろんだよ。」

他愛ない会話を交わしながらも、俺の頭の中はさっきのことでいっぱいだった。



『理想は、一緒にいて窮屈な想いを感じない人かな。
これが俺にとっては一番重要かもしれません。
あと…可愛いと思える部分がある人。
なんとかしてあげたくなる人……』



それが目の前の野々村さんにすべてあてはまると気付いた時、なんだか猛烈に恥ずかしくなった。
まるで、告白でもしてるかのような気分になって、恥ずかしくてたまらなくなって…
俺はアッシュをだしにその場を離れていた。



野々村さんはきっと変だと思っただろう。
まさか…気付かれただろうか?
いや、それ以前に…おかしいじゃないか。
俺はただ、好きなタイプを正直に答えただけだ。
その後で、そのどの点をとっても野々村さんにあてはまることに気が付いた。



(……ってことは、野々村さんは俺の理想の人だってこと?)



馬鹿な…
確かに野々村さんのことは信頼してる…
でも、それは恋愛感情とは違うはず。
彼女はファミリーと言えるような存在だ。
そう…彼女じゃない。
家族なんだ。



なのに、なぜ、こんなに俺は動揺してるんだ?



(なぜ?)



そうだ…たまたま、俺の理想に野々村さんが当てはまるって気付いてしまったからだ。
野々村さんは、唯一といっていい程、一緒にいて窮屈な想いを感じない人だ。
かくまってもらってた時、信じられない程リラックス出来た。
今までの彼女にそんな人はいなかった。
それに…野々村さんのあの性格はいやみがなくて純粋で、何とも言えない可愛げを感じる。
頼りないところもあるから、なんとかしてあげたくなる……



やっぱりぴったりだ。
野々村さんは、俺の理想にぴったりだ。



そう思うと、さらに心がざわざわとざわめいた。



(俺は…野々村さんが好きなのか…?)


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