赤い流れ星3
「兄さん!早く!
シュウさんが…!」

「えっ!?」

兄さんはすぐに駆けつけてくれた。



「シュウ!どうかしたのか!?」

兄さんが声をかけても、シュウさんは首を振るだけ。



(あ……)



もしかして、シュウさん…具合が悪くて動いたりしゃべったり出来ないんじゃ…



「兄さん!病院に連れて行った方が良いかもしれない。」

「病院!?シュウ、具合がわるいのか?」

兄さんが、何も答えないシュウさんの腕を取り、自分の首にその腕を回した。



「さ、行くぞ!歩けるか?」

「あ……」



その時、シュウさんのハンカチが落ちて…



「え…?」



シュウさんの目と鼻の頭は真っ赤だった。
私達は、意味がわからず、ただ立ち尽くして…
シュウさんは、素早い動きで兄さんから腕を外し、ハンカチを拾った。



「な、なんでもないって。」

そして、またハンカチを顔にかけた。




「シュウ…もしかして……泣いてた?」

シュウさんは、激しく首を振る。
それを見て、兄さんは噴き出した。



(泣いてた…?シュウさんが?)



「トイレで顔洗った方が良いぞ。
男前が台無しだ。」

兄さんは、笑いながらシュウさんに声をかけた。



「う、うるさいっ!」

そう言ったかと思うと、シュウさんは目にも止まらぬ素早さで、駆け出して行った。
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