赤い流れ星3
side シュウ




(全く……)



さっきから、何度、この画像を見たことだろう?
カラオケで、四人で撮った画像だ。
みんな、けっこういい年をしてるっていうのに、まるで少年、少女みたいな笑顔を浮かべ、瞳をキラキラ輝かせて…



なんだろう…?
この気持ちは…
心が落ち着いて…安心出来て…



今までに味わったことのない不思議な気持ちだ。
どこか照れ臭くて、春の日差しみたいに心がぽかぽかする…
こんな、時代遅れの青春ごっこみたいなことに、どうして…



そういえば、俺には、青春と言えるようなものはなかった。
若い頃の俺は、荒んでいて…
カズさんに拾ってもらってからは、夜の世界を生きて来た。
青春の代名詞であるような、突き抜ける青い空みたいな日々…
そんな時間を俺は体験したことがなかったんだって、今更ながらに気が付いた。



こんな年になってから、青春の真似事が出来るとは…
俺は、再び苦笑する。



今日は格好悪いところも見られてしまった。
まさか、あんなに泣いてしまうなんて、予想もしていなかった。
退屈で寝てしまうかも…って思ってたのに、あんなに感動するなんて…



(カズの言う通り、いつの間にか涙もろくなったのかな…)

本当に恥ずかしい。
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