赤い流れ星3
いい年をして、恋愛経験のひとつもなく、アニメやゲームが好きなオタクで…
これといった大きな夢を持つこともなく、いまだに兄の世話になっていて…



カズとはあまりにも違う。
はっきり言って、女としても人間としても、あいつはあまり出来の良い方ではない。



(だけど……)



なぜだか、あいつのことが気にかかる。
そもそも、俺はどうして、アニメの映画を見に行こうと思ったんだろう?



あぁ、そうか…それは、カズがアニメソングを格好良く歌ってたから…
カズに負けたくなくて…



でも、アニメソングを練習するだけなら、別に映画まで見ることはない。



急に心が苛々し始めるのを感じた。
いつもそうだ。
ひかりのことで何か考えると、いつもこんな風になってしまう。



なぜだ?
俺は、あいつが嫌いなのか?
いや…嫌いなら一緒に行動なんてしない。
俺は、プライベートではけっこう人の好き嫌いははっきりしてる方だ。
いくらカズが一緒だからって、貴重な休みを嫌いな奴と過ごすことなんてない。



(……畜生!)



理由がわからないことに、俺の苛々はさらに募っていき、俺は唇をきつく噛み締めた。
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