赤い流れ星3
「野々村さんも行く?」

「あぁ、もちろんだ。」

「良かった……」

相変わらず、美幸は野々村さんを頼っているようだ。
野々村さんが行くとわかったら、美幸はとても安心したような顔を見せた。



「おまえはどこか行きたい場所はあるのか?」

「え…特にはないけど…
もしかして、まだ行き先は決まってないの?」

「実はそうなんだ。」

「えっ!?今から、宿とか取れるの?」

またその質問か…
まぁ、確かに、普通ならそう考えるのも無理はない。
だけど、大河内さんが…



(……本当に大丈夫なのか?)



俺は、大河内さんの言葉を鵜呑みにしていたけれど、本当に大丈夫なんだろうか?
移動は車で行くとしても、宿がなければ確かに困る。



「ねぇ、カズ…
近藤さんがいつか言ってたよね。
沖縄の田舎の方に別荘があるって…
最近は行くこともなくなったし、長い間ほったらかしになってるから、良かったら掃除がてら遊びに行ってくれって。」

「あぁ、確かにそんなこと言ってたな。」

近藤さんというのは、うちの取引先の会長だ。
高齢なため、その別荘にはあまり行かれなくなったようだ。



「カズ、一度訊いてみたらどうかな?」

「……そうだな。そうしよう。
沖縄なら、楽しめそうだしな。」
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