赤い流れ星3
「どっちも……」

シュウさんは、苦笑する。
だって、そんなこと、考えたこともないんだもの。



「シュウさんはどっちがお好きなんですか?」

「俺?う~ん……どっちも。」

なんだそれ!?
もしかして、私、からかわれてる??



「……今から行くところは、どっちもありそうだな。」

「そう…ですね。」

「とても綺麗なところらしいな。
……良い思い出になりそうだ。」



(え……)



そうだ…シュウさんがなんともないからついつい忘れてたけど…
シュウさんには、もうそんなに時間がないんだ。
もしかしたら、シュウさんはそれをわかってるから、今回の旅行にも参加したの?
私達と楽しい思い出を作るために……



(うっ…)



急に込み上げて来た涙を隠すために、私は慌てて俯いた。



「……どうかしたのか?」

「あ、あの…か、花粉症で涙が…」

「え?飛行機の中なのに…?」

「は、はい、乗ってる人の服とかに着いた花粉が…」

私はよくわからないことを言って、無理やり花粉症で押し通した。
すると、目の前にハンカチがすっと差し出されて…



「あ、ありがとうございます。」

私は涙を拭った。
シュウさんが…あと少しでいなくなってしまうなんて…
そう思うと、なんだかものすごく悲しくなって来て…



どうしよう…涙が止まらない。
いやだ。シュウさんがいなくなってしまうなんて…!
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