赤い流れ星3
「え!?どうした?なにかあったのか?」

「ち、違うんです。
花粉症が酷くて、毎年こんな風になるんです。」

「そうなのか?本当に大丈夫なのか?」

「は、はい、すぐに落ち着きますから。」

下手すぎる言い訳だけど、シュウさんはどうにか信じてくれたみたい。
私は、懸命に涙を止めた。
怪しまれてはいけない。
私がシュウさんの秘密を知ってることを悟られてはいけない。
だから、止めなきゃ。
なんとしても、この涙を。



「水でも飲むか?」

「い、いえ…大丈夫です。」

シュウさんって良い人だな。
私なんかのことを心配してくれて。
その感動で、またじんわりしてくる。



でも、ようやくなんとか涙が止まって…



「……大丈夫か?」

「はい、やっとおさまりました。」

「そうか、良かった。
花粉症の薬は持ってきたのか?」

「え?あ…あぁ、確かバッグの中に入れた…ような…」

「そうか、預けたのか…
CAに薬がないか、訊いてみようか?」

「い、いえ、大丈夫ですから。」

あぁ、なんてことだ。
シュウさんにえらく心配をかけてしまったよ。



(シュウさん、ごめんなさい。
そして、ありがとう。)



そうだ。この旅行では楽しい思い出を作るお手伝いをしよう。
シュウさんに、いっぱい思い出を作ってもらおう。
< 497 / 761 >

この作品をシェア

pagetop