赤い流れ星3




「なんだ、美幸…もうおかわりを飲むのか?」

「だって、喉が乾いてたんだもん。
それに、何杯飲んだって値段は変わらないんだから、たくさん飲まなきゃ損だもん。」

「おまえは本当にいじましいな……」



(いじましい妹で悪かったね……)



結局、私達は私の希望通りにファミレスに向かった。
少々込んでて待たせられる羽目になり、私は機嫌の良くない兄さんが怒り出さないかって心配してたんだけど、店の人の態度も丁寧だったし、十分程で座れたせいかなんとか怒らせずに済んだ。

いざ席に着くと、二人共、ファミレスは久し振りだとか、料理の数が多いとかなんとか話しながら、メニューを見てけっこう楽しそうにしてて…
兄さんの機嫌もいつの間にか直ったみたいで、私は内心ほっとした。
だけど、ファミレスがそんなにいやなら、最初から言っといてくれたら良いのに…
本当に気難しい男だ。
一緒に住むようになってようやくそれがわかって来たっていうか…思ってたよりもずっと酷かった。
私はここに来てから、いつも兄さんの顔色を見てばかりだ。
でも、残念ながら、今の私には兄さんの家しか行ける所はないんだし、ここは耐えるしかない。



「……場所わかるか?
うん、そう、そこ。
じゃ、待ってるから…」



私が二杯目のコーラを持ってテーブルに戻ると、兄さんは誰かと電話で話してて、ちらっと聞こえた話の内容から察するに、どうやらここの場所を伝えてたみたい。



「マイケル、来るって?」

「うん、あと三十分くらいで来れそうだってさ。」

「そっか…じゃ、マイケルもカラオケ行けるね。」



どうやら、今、兄さんが話してたのはマイケルさんだったみたい。




しばらくすると、料理が運ばれて来て…
兄さん達は、ファミレスの料理を相当あなどっていたらしく、意外にイケるだのなんだの言いながら、けっこう機嫌良く食べていて…
私もお腹がすいてたから、いつも以上にもりもり食べて…食べながら、食後に来るデザートのことを楽しみに考えていた。
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