赤い流れ星3
「お待たせ!」

そこへマイケルさんがやって来て、二人の顔はその途端、嬉しそうな表情に変わった。
なんだかんだ言いながら、この三人は妙に仲が良い。
ちょっとした家族みたいな感じ…?
マイケルさんは私の隣の席に着き、メニューを見ると素早く決めてオーダーした。



「女社長さんとの話し合いはうまくいったの?」

「もちろんだよ。
そんなことより、今、僕、ちょっとびっくりするもの見ちゃったんだ!……聞きたい?」

「君が話したいんだろ?
良いよ、聞いてあげる。」

マイケルさんはアッシュさんのその言葉に失笑しながら、小さく二回頷いた。



「あ…その前に…
今日は野々村さんはどうしたの?
一緒じゃなかったの?」

「一緒だったんだけど、急に用を思い出したとかでさっき別れたんだ。
送って行くって言ったんだけど、何か買い物してから帰るとかで…」

「買い物を…ねぇ……」

マイケルさんは、そう言いながら意味ありげな笑みを浮かべた。



「なんだよ、マイケル…
野々村さんがどうかしたのか?」

兄さんの質問に、マイケルさんは笑いを堪えられないように俯いて……



「実はね……僕、見ちゃったんだ。
さっき、野々村さんがこの近くを男性と歩いてるのを…」

「なんだって、あの野々村さんが男性と!?
そうか…用があるって言ったのはそれで…
でも、野々村さんにそんな相手がいたなんて驚きだね!」

アッシュさんは高い音色の口笛を吹いた。



マジですか?
私だって驚きだよ。
だって、野々村さんはおじいさんが好きなはずなのに…
あ、わかった……それって、道を聞かれたとかじゃ…



「一緒に歩いてたって……たまたま道を聞かれただけじゃないのか?」

さすがに兄妹…!
まさに、私が今考えてたことを、絶妙のタイミングで兄さんが口にした。



「違うよ、そんなんじゃない。」

「どうしてそんなことがわかる?」

「だって、野々村さんは、KEN-Gと一緒だったんだ!
なんだかすごく楽しそうに二人で歩いてたよ!」



(えっ…!?)



マイケルさんのその言葉に、私の切れ長の目が一瞬だけ丸くなった。
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