赤い流れ星3
「任せなさい!
わしが良い店を知っておる。
……しかし、本当に奇遇じゃのう。
こんな所で、おまえさんに会えるとは…
おかげで楽しい夕飯になりそうで嬉しいよ。」

「こ、こちらこそ。
お会い出来て嬉しいです……あ~!そうだ!
私、ちょうどおお…じゃない、KEN-Gさんにお渡ししたいものがあったんです!」

「わしに…?
それは嬉しいのう…なんじゃろう?
わくわくするのう。
まぁ、とにかくまずは店へ行こうかの。」







「素敵なお店ですねぇ。」

私は店内を見渡しながら、落ち付かない気持ちを感じてた。
おじいさんが連れて行って下さったお店は、私一人だったら間違っても入らないだろういかにも高そうな創作料理のお店。
おじいさんの顔を見て、店長らしき人がぺこぺこしながら案内して下さったお部屋は完全な個室で、しかも和室だった。



「ここは、つい最近オープンした店なんじゃよ。
わしもまだ一度しか来たことはないんじゃが、落ちつく場所じゃろ?」

「え……えぇ……」

却って落ち付かないですなんて言えないから、私は曖昧に笑ってその場を誤魔化した。



「あ……もしかしたら、このビルもKEN-Gさんの?」

「まぁ、そういうことじゃな。
こっちに来た途端、そんな関係からいろんな所からお誘いがあってな。
本当はひか…いや、美幸達と遊びたかったんじゃが、なかなか時間が空かんでのう…」




まただ…
おじいさんはまた美幸さんのことを「ひか」と言いかけた。
聞いて良いものかもっと親しくなってからにした方が良いのかという迷いはあったけど、私は意を決し、そのことをおじいさんに直接訊ねてみることにした。
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