赤い流れ星3
「あ、あの……
KEN-Gさんって、お孫さんはいらっしゃるんですか?」

「孫…?
残念ながらおらんよ。
なんせ、わしは生まれてこのかたずっと独身なのでな…」

「えっ!そ、そうなんですか!?」

それは、少し意外な情報だった。
確かに、先日、お屋敷にお邪魔した時、ご家族らしき方を見かけなかったけれど、なんだか勝手に離婚でもされたか、奥様に先立たれたのかと思ってた。
まさか、生涯独身だったなんて…
だとしたら、「ひか…」さんが孫であるはずがない。
って、最初からそんな風には考えてなかったけど……



「じゃが、まぁ、先のことはわからんからのう…
これから先、べっぴんさんとの素敵な出会いがあるかもしれんし。
……そういえば、野々村さんは結婚されとるのか?」

「い…いえ、私なんてもらってくれる人、いませんから…」

そんな話をしている場合じゃない。
「ひか」のことをもっとはっきり訊かなくちゃ!
それに、あんまり話したくない話題でもあったから、私は慌てて否定した。



「またまた…何を言うとるんじゃ。
このわしでさえ、まだ諦めとらんのじゃよ。
野々村さんなら、その気になればすぐにでも良い人がみつかるじゃろ…」

「い、いえ……わ、私は本当にだめなんです。
そんなことより、あの……この前から気になってたんですが、もしかして、KEN-Gさんは美幸さんと似た方をご存知なんですか?」

言ってしまった。
この前から気になっていたことを、自分でも少し驚く程、私はすっぱりと口にしてしまった。
私の鼓動は次第に速さを増していく。



「……どうしてじゃ?
なぜ、そんなことを思うんじゃ?」

おじいさんは私の質問には答えず、逆に訊き返した。
その時のおじいさんの様子は、どうにも判断がつきにくく……
冷静なようにも見えるし、どこか少し慌てているようにも見える。
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